12-1 試算表

最終更新 2026-07-20内容の作り方 →

試算表は元帳の正確さを点検する表

試算表(しさんひょう:Trial Balance / T/B)は、仕訳帳から総勘定元帳へ転記したあと、各勘定の合計または残高を集めて、借方合計と貸方合計が一致するかを確認する表です。

簿記では、1つの仕訳は必ず借方金額と貸方金額が一致します。したがって、仕訳が正しく、転記が正しく、元帳の集計も正しければ、試算表の借方合計と貸方合計も一致します。ただし、試算表は財務諸表そのものではありません。決算整理前に帳簿の土台を検算するための作業表です。

このページでは、青空商事株式会社(決算日:2026年3月31日、金額単位:円)の3月取引を使い、仕訳、元帳、整理前残高試算表までを連続して作ります。

この節でできるようになること

  1. 取引から借方・貸方を判断し、仕訳を作成できる。
  2. 仕訳を元帳へ転記し、期首残高、借方追加、貸方追加、期末残高を集計できる。
  3. 合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の違いを説明できる。
  4. 試算表で発見できる誤りと、発見できない誤りを区別できる。
  5. 合計が合わないときに、試算表から元帳、元帳から仕訳へ戻って原因を探せる。

前提の転記ルールは3-3「仕訳帳から元帳・試算表へ」、決算整理後に進む表は12-2「精算表」で確認できます。復習用には知識カード「試算表」、演習用には第12章の練習問題も使ってください。

3月1日の元帳残高

青空商事株式会社の3月1日時点の元帳残高は次のとおりです。借方残高合計と貸方残高合計は、どちらも2,570,000円です。

勘定科目 借方残高 貸方残高
現金 500,000
売掛金 200,000
貯蔵品 60,000
繰越商品 120,000
備品 600,000
仕入 600,000
給料 275,000
支払家賃 165,000
水道光熱費 50,000
備品減価償却累計額 120,000
買掛金 150,000
借入金 300,000
資本金 560,000
繰越利益剰余金 100,000
売上 1,340,000
合計 2,570,000 2,570,000

この表は3月1日時点の出発点です。3月中の取引を仕訳し、各勘定へ追加して、3月31日の残高を求めます。

借方・貸方を判断する手順

仕訳で迷ったときは、いきなり暗記で科目を置かず、次の順序で判断します。

  1. 何が増えたか、何が減ったかを読む。
  2. その勘定が資産、負債、純資産、収益、費用のどれかを確認する。
  3. 資産・費用の増加は借方、減少は貸方に置く。
  4. 負債・純資産・収益の増加は貸方、減少は借方に置く。
  5. 借方金額と貸方金額が一致しているかを確認する。

たとえば「売掛金を現金で回収した」場合、現金という資産が増え、売掛金という資産が減ります。資産の増加は借方、資産の減少は貸方なので、借方は現金、貸方は売掛金です。

3月中の8取引と仕訳

青空商事株式会社では、3月中に次の8取引がありました。

No. 取引 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
1 商品を現金で売り上げた 現金 180,000 売上 180,000
2 商品を掛けで売り上げた 売掛金 80,000 売上 80,000
3 商品を掛けで仕入れた 仕入 120,000 買掛金 120,000
4 売掛金を現金で回収した 現金 40,000 売掛金 40,000
5 買掛金を現金で支払った 買掛金 90,000 現金 90,000
6 給料を現金で支払った 給料 25,000 現金 25,000
7 家賃を現金で支払った 支払家賃 15,000 現金 15,000
8 水道光熱費を現金で支払った 水道光熱費 10,000 現金 10,000
合計 560,000 560,000

各仕訳の判断は次のとおりです。

No. 判断の要点
1 現金という資産が増えるので借方、売上という収益が増えるので貸方。
2 後で代金を受け取る権利である売掛金が増えるので借方、売上が増えるので貸方。
3 仕入という費用が増えるので借方、後で支払う義務である買掛金が増えるので貸方。
4 現金が増えるので借方、売掛金が減るので貸方。
5 買掛金という負債が減るので借方、現金が減るので貸方。
6 給料という費用が増えるので借方、現金が減るので貸方。
7 支払家賃という費用が増えるので借方、現金が減るので貸方。
8 水道光熱費という費用が増えるので借方、現金が減るので貸方。

8取引の借方合計と貸方合計はいずれも560,000円です。仕訳の段階で左右が合わない場合は、元帳や試算表へ進む前に仕訳を直します。

元帳へ転記して集計する

元帳では、勘定科目ごとに期首残高、3月中の借方追加、3月中の貸方追加を集めます。期末残高は、借方側の合計と貸方側の合計の差額です。

勘定科目 期首残高 借方追加 貸方追加 3月31日残高
現金 借方500,000 220,000 140,000 借方580,000
売掛金 借方200,000 80,000 40,000 借方240,000
貯蔵品 借方60,000 0 0 借方60,000
繰越商品 借方120,000 0 0 借方120,000
備品 借方600,000 0 0 借方600,000
仕入 借方600,000 120,000 0 借方720,000
給料 借方275,000 25,000 0 借方300,000
支払家賃 借方165,000 15,000 0 借方180,000
水道光熱費 借方50,000 10,000 0 借方60,000
備品減価償却累計額 貸方120,000 0 0 貸方120,000
買掛金 貸方150,000 90,000 120,000 貸方180,000
借入金 貸方300,000 0 0 貸方300,000
資本金 貸方560,000 0 0 貸方560,000
繰越利益剰余金 貸方100,000 0 0 貸方100,000
売上 貸方1,340,000 0 260,000 貸方1,600,000

期首残高を含めた元帳の借方記入合計は3,130,000円、貸方記入合計も3,130,000円です。内訳は、期首の借方2,570,000円と貸方2,570,000円に、3月取引の借方560,000円と貸方560,000円を加えたものです。

借方追加と貸方追加は、次の仕訳番号から来ています。0円の科目は、3月中にその科目を使う仕訳がなかったという意味です。

勘定科目 借方追加の内訳 貸方追加の内訳
現金 No.1 180,000 + No.4 40,000 = 220,000 No.5 90,000 + No.6 25,000 + No.7 15,000 + No.8 10,000 = 140,000
売掛金 No.2 80,000 No.4 40,000
貯蔵品 0 0
繰越商品 0 0
備品 0 0
仕入 No.3 120,000 0
給料 No.6 25,000 0
支払家賃 No.7 15,000 0
水道光熱費 No.8 10,000 0
備品減価償却累計額 0 0
買掛金 No.5 90,000 No.3 120,000
借入金 0 0
資本金 0 0
繰越利益剰余金 0 0
売上 0 No.1 180,000 + No.2 80,000 = 260,000

期末残高の数字の出どころ

試算表の数字は、問題文から直接写すだけではありません。元帳の残高として、次のように計算します。

勘定科目 計算 3月31日残高
現金 期首500,000 + 借方追加220,000 - 貸方追加140,000 借方580,000
売掛金 期首200,000 + 借方追加80,000 - 貸方追加40,000 借方240,000
貯蔵品 60,000。3月中の増減なし。 借方60,000
繰越商品 120,000。整理前なので期首商品をそのまま残す。 借方120,000
備品 600,000。取得原価を残し、減価償却はまだ追加しない。 借方600,000
仕入 期首600,000 + 借方追加120,000 借方720,000
給料 期首275,000 + 借方追加25,000 借方300,000
支払家賃 期首165,000 + 借方追加15,000 借方180,000
水道光熱費 期首50,000 + 借方追加10,000 借方60,000
備品減価償却累計額 120,000。3月中の増減なし。 貸方120,000
買掛金 期首150,000 + 貸方追加120,000 - 借方追加90,000 貸方180,000
借入金 300,000。3月中の増減なし。 貸方300,000
資本金 560,000。3月中の増減なし。 貸方560,000
繰越利益剰余金 100,000。3月中の増減なし。 貸方100,000
売上 期首1,340,000 + 貸方追加260,000 貸方1,600,000

ここではまだ決算整理を入れません。期末商品の棚卸、減価償却費、貸倒引当金、未払費用、前払費用などを加えるのは、次の12-2「精算表」の段階です。

整理前残高試算表を作る

整理前残高試算表は、決算整理を入れる前の各勘定残高を、借方残高または貸方残高に分けて並べた表です。

勘定科目 借方残高 貸方残高
現金 580,000
売掛金 240,000
貯蔵品 60,000
繰越商品 120,000
備品 600,000
仕入 720,000
給料 300,000
支払家賃 180,000
水道光熱費 60,000
備品減価償却累計額 120,000
買掛金 180,000
借入金 300,000
資本金 560,000
繰越利益剰余金 100,000
売上 1,600,000
合計 2,860,000 2,860,000

借方残高合計は2,860,000円、貸方残高合計も2,860,000円です。この一致により、少なくとも「借方だけ転記した」「貸方だけ金額を間違えた」といった左右不一致の誤りは起きていない可能性が高いと分かります。

3種類の試算表

試算表には、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3種類があります。どれも同じ元帳から作りますが、表示する数字が異なります。

種類 載せる数字 向いている確認
合計試算表 各勘定の借方記入合計と貸方記入合計 転記された金額の総量を確認する。
残高試算表 各勘定の差額残高 決算整理前の残高を確認し、精算表へつなげる。
合計残高試算表 合計試算表と残高試算表の両方 転記額と残高を同時に確認する。

合計試算表

合計試算表は、期首残高を含む元帳の借方記入合計と貸方記入合計をそのまま並べます。

勘定科目 借方合計 貸方合計
現金 720,000 140,000
売掛金 280,000 40,000
貯蔵品 60,000 0
繰越商品 120,000 0
備品 600,000 0
仕入 720,000 0
給料 300,000 0
支払家賃 180,000 0
水道光熱費 60,000 0
備品減価償却累計額 0 120,000
買掛金 90,000 270,000
借入金 0 300,000
資本金 0 560,000
繰越利益剰余金 0 100,000
売上 0 1,600,000
合計 3,130,000 3,130,000

残高試算表

残高試算表は、各勘定の差額だけを借方または貸方のどちらかに記入します。試験で「整理前残高試算表」として与えられる表は、この形式です。

勘定科目 借方残高 貸方残高
現金 580,000
売掛金 240,000
貯蔵品 60,000
繰越商品 120,000
備品 600,000
仕入 720,000
給料 300,000
支払家賃 180,000
水道光熱費 60,000
備品減価償却累計額 120,000
買掛金 180,000
借入金 300,000
資本金 560,000
繰越利益剰余金 100,000
売上 1,600,000
合計 2,860,000 2,860,000

合計残高試算表

合計残高試算表は、元帳の合計額と残高額を1つにまとめた表です。

勘定科目 合計 借方 合計 貸方 残高 借方 残高 貸方
現金 720,000 140,000 580,000
売掛金 280,000 40,000 240,000
貯蔵品 60,000 0 60,000
繰越商品 120,000 0 120,000
備品 600,000 0 600,000
仕入 720,000 0 720,000
給料 300,000 0 300,000
支払家賃 180,000 0 180,000
水道光熱費 60,000 0 60,000
備品減価償却累計額 0 120,000 120,000
買掛金 90,000 270,000 180,000
借入金 0 300,000 300,000
資本金 0 560,000 560,000
繰越利益剰余金 0 100,000 100,000
売上 0 1,600,000 1,600,000
合計 3,130,000 3,130,000 2,860,000 2,860,000

転記を確認するときの見方

転記チェックでは、仕訳1本ごとに「借方側の科目へ借方記入したか」「貸方側の科目へ貸方記入したか」を確認します。

No. 仕訳 転記先の確認
1 現金180,000 / 売上180,000 現金の借方追加、売上の貸方追加に入っているか。
2 売掛金80,000 / 売上80,000 売掛金の借方追加、売上の貸方追加に入っているか。
3 仕入120,000 / 買掛金120,000 仕入の借方追加、買掛金の貸方追加に入っているか。
4 現金40,000 / 売掛金40,000 現金の借方追加、売掛金の貸方追加に入っているか。
5 買掛金90,000 / 現金90,000 買掛金の借方追加、現金の貸方追加に入っているか。
6 給料25,000 / 現金25,000 給料の借方追加、現金の貸方追加に入っているか。
7 支払家賃15,000 / 現金15,000 支払家賃の借方追加、現金の貸方追加に入っているか。
8 水道光熱費10,000 / 現金10,000 水道光熱費の借方追加、現金の貸方追加に入っているか。

現金の借方追加220,000円は、No.1の180,000円とNo.4の40,000円です。現金の貸方追加140,000円は、No.5の90,000円、No.6の25,000円、No.7の15,000円、No.8の10,000円です。このように、元帳の1つの数字を必ず仕訳番号まで戻せる状態にします。

試算表で発見できる誤り

試算表の借方合計と貸方合計が一致しない場合、少なくともどこかで左右の金額関係が崩れています。

誤り 試算表への出方
片側だけ転記漏れ 現金売上180,000円の現金だけ転記し、売上を転記しなかった。 借方が180,000円多くなる。
金額を片側だけ誤記 現金貸方90,000円を9,000円で転記した。 借方が81,000円多くなる。
元帳の合計ミス 現金勘定の貸方追加140,000円を130,000円と集計した。 現金残高が10,000円多くなり、試算表がずれる。
残高方向の誤り 買掛金180,000円を貸方でなく借方へ記入した。 借方が180,000円増え、貸方が180,000円減る。

差額が取引金額と一致する場合は、片側だけの転記漏れを疑います。差額が2で割れる場合は、残高を借方と貸方に逆記入した可能性があります。差額が9で割り切れる場合は、桁違い、数字の入れ替え、転記時の読み違いを疑います。

試算表だけでは発見できない誤り

借方合計と貸方合計が一致しても、帳簿が正しいとは限りません。借方と貸方が同じ金額だけ間違っている場合、試算表の貸借一致だけでは発見できません。

発見しにくい誤り なぜ一致してしまうか
取引そのものの記入漏れ 掛売上80,000円を仕訳帳に記入しなかった。 借方も貸方も80,000円ずつ少ない。
勘定科目の誤り 売掛金回収40,000円を、現金ではなく普通預金で処理した。 借方総額と貸方総額は変わらない。
借方・貸方の逆仕訳 買掛金支払を、現金90,000円 / 買掛金90,000円とした。 左右は同額なので合計だけは一致する。
同額の過大記入 給料25,000円を、借方・貸方とも52,000円で記録した。 借方も貸方も27,000円ずつ多い。
二重記入 現金売上180,000円を同じ仕訳で2回記録した。 借方も貸方も180,000円ずつ多い。
相殺される複数ミス 売上貸方80,000円の転記漏れと、別の貸方80,000円の過大記入が同時に起きた。 複数の誤りが合計上打ち消し合う。

試算表は「左右が合うからすべて正しい」と証明する表ではありません。左右不一致の誤りを早く見つけるための検算表だと理解します。

合計が合わないときに原因をさかのぼる照合手順

試算表の合計が合わないときは、作業した順番と逆に戻ります。

  1. 試算表の合計行を再計算する。
  2. 借方合計と貸方合計の差額を出す。
  3. 差額そのものと同じ金額の取引を探す。
  4. 差額の2分の1と同じ残高があれば、借方・貸方を逆に置いた可能性を疑う。
  5. 差額が9で割り切れれば、桁違いまたは数字の入れ替えを疑う。
  6. 残高試算表なら、各勘定の残高計算を元帳で確認する。
  7. 合計試算表なら、各勘定の借方合計・貸方合計を元帳で確認する。
  8. 元帳の記入を、仕訳帳の8取引へ戻って照合する。
  9. 最後に、問題文の取引が仕訳帳にすべて入っているかを確認する。

たとえば、残高試算表で借方合計が2,950,000円、貸方合計が2,860,000円になった場合、差額は90,000円です。3月取引には買掛金90,000円の現金支払があるため、まずNo.5の現金貸方90,000円が漏れていないかを確認します。現金の貸方転記が漏れると、現金残高が本来の580,000円ではなく670,000円になり、借方合計が90,000円多くなるからです。

自己点検リスト

  • 3月1日の借方残高合計と貸方残高合計が2,570,000円で一致しているか。
  • 8取引それぞれで、借方金額と貸方金額が一致しているか。
  • 8取引の借方合計と貸方合計が560,000円で一致しているか。
  • 現金の借方追加が180,000円 + 40,000円 = 220,000円になっているか。
  • 現金の貸方追加が90,000円 + 25,000円 + 15,000円 + 10,000円 = 140,000円になっているか。
  • 買掛金は、貸方150,000円 + 貸方120,000円 - 借方90,000円 = 貸方180,000円になっているか。
  • 売上は、貸方1,340,000円 + 180,000円 + 80,000円 = 貸方1,600,000円になっているか。
  • 整理前残高試算表の借方合計と貸方合計が2,860,000円で一致しているか。
  • 繰越商品120,000円を、整理前の段階で期末商品に置き換えていないか。
  • 備品600,000円と備品減価償却累計額120,000円を相殺して表示していないか。

教材練習1:仕訳から元帳残高を求める

次の取引について、仕訳を作成し、現金、売掛金、買掛金、売上、仕入の3月31日残高を求めてください。

3月1日残高は、現金500,000円、売掛金200,000円、買掛金150,000円、売上1,340,000円、仕入600,000円です。3月中の取引は、現金売上180,000円、掛売上80,000円、掛仕入120,000円、売掛金の現金回収40,000円、買掛金の現金支払90,000円です。

解答

仕訳は次のとおりです。

取引 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金売上 現金 180,000 売上 180,000
掛売上 売掛金 80,000 売上 80,000
掛仕入 仕入 120,000 買掛金 120,000
売掛金の現金回収 現金 40,000 売掛金 40,000
買掛金の現金支払 買掛金 90,000 現金 90,000

元帳残高は次のように求めます。

勘定科目 計算 3月31日残高
現金 500,000 + 180,000 + 40,000 - 90,000 借方630,000
売掛金 200,000 + 80,000 - 40,000 借方240,000
買掛金 150,000 + 120,000 - 90,000 貸方180,000
売上 1,340,000 + 180,000 + 80,000 貸方1,600,000
仕入 600,000 + 120,000 借方720,000

この練習では、給料、家賃、水道光熱費の支払いを条件に含めていません。そのため、現金残高は本文の580,000円ではなく630,000円です。試算表問題では、含める取引と含めない取引を最初に線引きすることが重要です。

最後に、残高だけでなく転記方向も確認します。現金売上と売掛金回収は現金の借方、買掛金支払は現金の貸方です。掛売上は売掛金の借方、掛仕入は買掛金の貸方です。この対応が1本でも逆になると、残高は大きく変わります。

教材練習2:試算表の差額を診断する

青空商事株式会社の整理前残高試算表を作成したところ、借方合計が2,950,000円、貸方合計が2,860,000円になりました。本来は借方・貸方とも2,860,000円です。差額90,000円について、最初に確認すべき転記漏れを説明してください。

解答

最初に確認すべきなのは、No.5「買掛金90,000円を現金で支払った」取引のうち、現金勘定の貸方90,000円の転記漏れです。

正しい仕訳は、借方が買掛金90,000円、貸方が現金90,000円です。現金の貸方90,000円を元帳に転記しないと、現金残高は本来の580,000円ではなく670,000円になります。その結果、残高試算表の借方合計が90,000円多くなり、2,950,000円になります。

確認の順序は次のとおりです。まず差額90,000円を出します。次に、同じ90,000円の取引を探します。3月取引では買掛金支払90,000円が該当します。最後に、買掛金勘定の借方90,000円と現金勘定の貸方90,000円の両方が元帳へ入っているかを確認します。

なお、買掛金勘定の借方90,000円が漏れた場合は、買掛金残高が貸方270,000円のままになり、貸方合計が90,000円多くなります。今回の問題は借方合計が多いので、最初に疑う場所は現金の貸方転記です。

この問題で確認したい能力は、差額を見てすぐに答えを暗記することではありません。差額が90,000円であること、90,000円の取引がNo.5であること、借方が多いなら本来減るはずの借方残高が減っていない可能性が高いことを、順番に説明できるかです。

次に学ぶこと

整理前残高試算表は、決算整理の出発点です。次の12-2「精算表」では、整理前残高試算表に決算整理仕訳を加え、損益計算書欄と貸借対照表欄へ振り分けます。転記の基本に不安がある場合は、先に3-3「仕訳帳から元帳・試算表へ」へ戻って、元帳への転記を復習してください。

この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう