13-2 精算表から貸借対照表を作る
貸借対照表は決算日の財政状態を示す
貸借対照表は、決算日という一定時点における資産・負債・純資産を表示します。
第13章の統一ケースでは、損益計算書で当期純利益80,000円を計算しました。ここでは、同じ精算表の貸借対照表欄から決算日の残高を転記します。
調整後の資産・負債・純資産残高
| 科目 | 区分 | 金額 |
|---|---|---|
| 現金 | 資産 | 150,000 |
| 普通預金 | 資産 | 340,000 |
| 売掛金 | 資産 | 180,000 |
| 商品 | 資産 | 120,000 |
| 消耗品 | 資産 | 10,000 |
| 前払保険料 | 資産 | 24,000 |
| 備品 | 資産 | 300,000 |
| 備品減価償却累計額 | 資産の控除 | 60,000 |
| 買掛金 | 負債 | 160,000 |
| 借入金 | 負債 | 300,000 |
| 未払費用 | 負債 | 24,000 |
| 資本金 | 純資産 | 500,000 |
| 繰越利益剰余金 | 純資産 | 80,000 |
このケースでは、期首繰越利益剰余金0円、配当なしを前提としています。そのため、当期純利益80,000円が期末の繰越利益剰余金80,000円になります。
ステップ1:資産合計を計算する
減価償却累計額は備品から控除します。
現金150,000+普通預金340,000+売掛金180,000+商品120,000+消耗品10,000+前払保険料24,000+備品300,000−減価償却累計額60,000=1,064,000円
ステップ2:負債合計を計算する
買掛金160,000円+借入金300,000円+未払費用24,000円=484,000円
ステップ3:純資産合計を計算する
資本金500,000円+繰越利益剰余金80,000円=580,000円
ステップ4:貸借対照表等式を確認する
資産1,064,000円=負債484,000円+純資産580,000円
左右が一致します。
貸借対照表
青葉サービス株式会社
20X2年3月31日現在
金額単位:円
| 資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 150,000 | 買掛金 | 160,000 |
| 普通預金 | 340,000 | 未払費用 | 24,000 |
| 売掛金 | 180,000 | 借入金 | 300,000 |
| 商品 | 120,000 | 資本金 | 500,000 |
| 消耗品 | 10,000 | 繰越利益剰余金 | 80,000 |
| 前払保険料 | 24,000 | ||
| 備品 | 300,000 | ||
| 備品減価償却累計額 | △60,000 | ||
| 合計 | 1,064,000 | 合計 | 1,064,000 |
流動・固定の判断
貸借対照表では、問題で指定された表示区分に従います。一般的には、通常の営業循環に含まれる売掛金・商品・買掛金などを流動項目とし、それ以外の項目は決算日の翌日から1年以内かどうかを基準に判断します。
| 区分 | このケースの例 |
|---|---|
| 流動資産 | 現金、普通預金、売掛金、商品、消耗品、前払保険料 |
| 固定資産 | 備品、備品減価償却累計額 |
| 流動負債 | 買掛金、未払費用、短期返済予定の借入金など |
| 固定負債 | 返済期限が長期の借入金など |
借入金の流動・固定区分は、問題文に示された返済期限や表示指示を確認します。
控除科目の表示
備品減価償却累計額は負債ではありません。備品の取得原価から差し引く評価勘定です。
備品帳簿価額=備品300,000円−減価償却累計額60,000円=240,000円
貸倒引当金も、売掛金などから控除して表示する科目です。
決算整理との接続
| 決算整理 | P/Lへの影響 | B/Sへの影響 |
|---|---|---|
| 減価償却 | 減価償却費 | 減価償却累計額 |
| 保険料の繰延べ | 当期保険料を減らす | 前払保険料 |
| 費用の見越し | 当期費用を増やす | 未払費用 |
| 期末商品 | 売上原価を計算 | 商品 |
一つの決算整理がP/LとB/Sの両方へ影響する場合があります。
よくある誤り
誤り1:減価償却累計額を負債へ表示する
資産の控除科目です。備品から差し引きます。
誤り2:前払保険料を費用へ載せる
翌期に対応する部分は資産としてB/Sへ表示します。
誤り3:未払費用を費用だけ計上し、負債を落とす
当期費用と将来の支払義務を同時に記録します。
誤り4:期末商品を売上原価とB/Sの両方から除く
期末商品は売上原価から除き、資産としてB/Sへ載せます。
誤り5:当期純利益を無条件で繰越利益剰余金残高とする
期首繰越利益剰余金、配当などの条件を確認します。このケースでは期首0円・配当なしです。
誤り6:借入金を金額だけで流動・固定へ分類する
返済期限や問題の表示指示を確認します。
検算
- 資産合計:1,064,000円
- 負債合計:484,000円
- 純資産合計:580,000円
- 負債+純資産:1,064,000円
次の13-3「P/L・B/Sのつながりと誤りの見つけ方」で、当期純利益と純資産の接続、全体の検算順序を確認します。
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月19日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「簿記3級サンプル問題」