13-3 P/L・B/Sのつながりと誤りの見つけ方

損益計算書と貸借対照表は一つの決算から作られる

損益計算書と貸借対照表は別々の報告書ですが、同じ帳簿・試算表・決算整理を基礎として作成します。

  • P/L:一定期間の収益・費用と当期純利益を示す
  • B/S:決算日の資産・負債・純資産を示す

統一ケースでは、P/Lで当期純利益80,000円、B/Sで期末繰越利益剰余金80,000円を表示しました。

当期純利益と繰越利益剰余金の接続

当期純利益は決算振替を通じて繰越利益剰余金へ加算され、純資産を増加させます。

ただし、期末繰越利益剰余金は当期純利益だけで決まるとは限りません。

期末繰越利益剰余金=期首繰越利益剰余金+当期純利益−配当など

青葉サービス株式会社の前提は次のとおりです。

  • 期首繰越利益剰余金:0円
  • 当期純利益:80,000円
  • 配当など:0円

0円+80,000円−0円=80,000円

そのため、期末繰越利益剰余金は80,000円です。

一つの決算整理がP/LとB/Sへ与える影響

減価償却

減価償却費30,000/備品減価償却累計額30,000

  • P/L:減価償却費30,000円が増える
  • B/S:備品の控除額が30,000円増える
  • 当期純利益:30,000円減少する
  • 純資産:利益減少を通じて30,000円小さくなる

保険料の繰延べ

前払保険料24,000/保険料24,000

  • P/L:当期保険料が24,000円減る
  • B/S:前払保険料24,000円が増える
  • 当期純利益:24,000円増える

費用の見越し

費用24,000/未払費用24,000

  • P/L:当期費用が24,000円増える
  • B/S:未払費用24,000円が増える
  • 当期純利益:24,000円減る

P/LとB/Sの両方に同額の影響が現れるため、どちらか片方だけ直すと貸借が合わなくなります。

財務諸表完成までの最終フロー

  1. 仕訳帳・元帳を締める前に残高試算表を作る
  2. 決算整理事項を仕訳する
  3. 調整後残高を精算表へ反映する
  4. 収益・費用をP/L欄へ振り分ける
  5. 資産・負債・純資産をB/S欄へ振り分ける
  6. 当期純利益・純損失を計算する
  7. P/Lを作成する
  8. 利益の純資産への接続条件を確認する
  9. B/Sを作成する
  10. 各表と帳簿の勾稽を確認する

統一ケースの全体検算

P/L

  • 収益合計:704,000円
  • 費用合計:624,000円
  • 当期純利益:80,000円

624,000円+80,000円=704,000円

B/S

  • 資産合計:1,064,000円
  • 負債合計:484,000円
  • 純資産合計:580,000円

484,000円+580,000円=1,064,000円

純資産

  • 資本金:500,000円
  • 繰越利益剰余金:80,000円

500,000円+80,000円=580,000円

三つの検算が相互に一致します。

差額が合わないときの確認順序

1. 足し算・引き算を確認する

  • 収益合計
  • 費用合計
  • 資産合計
  • 負債合計
  • 純資産合計

2. 精算表からの転記漏れを確認する

科目名へ印を付け、P/LまたはB/Sのどちらかへ一度だけ転記したか確認します。

3. 借方・貸方を逆にしていないか確認する

  • 当期純利益はP/Lの費用側
  • 当期純損失はP/Lの収益側
  • 減価償却累計額は資産の控除

4. 決算整理の両面を確認する

前払費用・未払費用・減価償却などで、P/L側とB/S側の両方を反映したか確認します。

5. 売上原価と期末商品を確認する

  • 期末商品を売上原価から除いたか
  • 期末商品をB/S資産へ載せたか
  • 仕入をそのままP/Lへ載せていないか

6. 当期純利益と繰越利益剰余金の条件を確認する

  • 期首繰越利益剰余金はいくらか
  • 配当などの減少項目があるか
  • 当期純利益・損失の方向は正しいか

誤りが貸借一致だけでは見つからない場合

借方・貸方へ同額を誤った科目で転記すると、合計は一致しても内容が誤ります。

例:備品を消耗品費へ誤分類

借貸は一致しますが、資産と費用、B/SとP/Lが誤ります。

例:借入金入金を売上へ誤分類

借貸は一致しますが、負債が不足し、収益と利益が過大になります。

例:売掛金回収時に売上を再計上

借貸は一致しても、売上と利益が二重計上されます。

そのため、貸借一致に加えて取引原因・五要素・表示先を確認します。

P/LとB/Sから読み取れること

P/Lから

  • 収益704,000円に対し、費用624,000円
  • 当期純利益80,000円
  • 売上原価420,000円が最大の費用項目

B/Sから

  • 資産1,064,000円
  • 負債484,000円
  • 純資産580,000円
  • 売掛金180,000円が未回収
  • 備品帳簿価額240,000円

簿記は試験答案を作るだけでなく、企業の収益性、資金回収、債務、設備状況を読む基礎になります。

よくある誤り

誤り1:P/LとB/Sを別々の数字で作る

同じ調整後残高と精算表から作成します。

誤り2:当期純利益をいつでもそのまま繰越利益剰余金とする

期首残高と配当などの条件を確認します。

誤り3:貸借一致だけで内容も正しいと判断する

科目誤分類や二重計上は、貸借が一致しても発生します。

誤り4:決算整理をP/L側だけへ反映する

資産・負債側への影響も確認します。

誤り5:損益計算書の期間と貸借対照表の日付を混同する

P/Lは一定期間、B/Sは決算日現在です。

最終チェックリスト

  1. 調整後残高を使用したか
  2. 各科目をP/LまたはB/Sへ一度だけ転記したか
  3. 収益・費用から当期純利益を計算したか
  4. 期首利益剰余金・配当などの条件を確認したか
  5. 資産=負債+純資産が成立したか
  6. 減価償却累計額など控除科目の表示は正しいか
  7. 売上原価と期末商品の両方を反映したか
  8. P/Lの期間、B/Sの日付表示は正しいか
  9. 貸借一致だけでなく科目内容も確認したか

第13章の練習問題で統一ケースを解き直し、簿記3級の章別練習問題で全章を横断して復習してください。


適用年度: 2026年度

最終確認日: 2026年7月19日

主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「簿記3級サンプル問題」

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