6-2 クレジット売掛金と決済手数料
クレジット売掛金は信販会社から受け取る権利
顧客がクレジットカードで商品を購入した場合、店舗は顧客本人から直接現金を受け取らず、後日、信販会社から代金を受け取ります。この権利をクレジット売掛金という資産で処理します。
登場するのは次の三者です。
| 当事者 | 役割 |
|---|---|
| 顧客 | カードで商品代金を支払う |
| 加盟店 | 商品を販売し、信販会社から入金を受ける |
| 信販会社 | 顧客に代わって加盟店へ代金を支払う |
通常の売掛金は得意先から回収する権利ですが、クレジット売掛金は信販会社から回収する権利です。
基本の判断
- クレジットカード販売か確認する
- 売上総額を貸方へ計上する
- 問題文で決済手数料をいつ計上するか確認する
- 手数料を
支払手数料という費用へ分ける - 信販会社から受け取る純額をクレジット売掛金へ計上する
- 入金時にクレジット売掛金を取り崩す
売上は顧客への販売額の総額です。決済手数料を売上から直接控除せず、支払手数料として区分します。
連続ケース:青葉ストア
販売時に手数料を計上する場合
取引:商品200,000円をクレジットカードで販売した。信販会社への決済手数料は販売代金の3%で、販売時に計上する。
手数料
200,000円×3%=6,000円
信販会社から受け取る金額
200,000円−6,000円=194,000円
販売時の仕訳
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 194,000 | 売上 | 200,000 |
| 支払手数料 | 6,000 |
- 売上:顧客への販売額200,000円
- 支払手数料:信販会社へ支払う費用6,000円
- クレジット売掛金:後日入金される純額194,000円
入金時
後日、194,000円が普通預金へ入金されました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 194,000 | クレジット売掛金 | 194,000 |
入金時に売上や支払手数料を再計上しません。
現金売上とクレジット売上が混在する場合
取引:本日の売上は現金48,000円、クレジット92,000円であった。クレジット手数料3%は販売時に計上する。
手数料
92,000円×3%=2,760円
クレジット売掛金
92,000円−2,760円=89,240円
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 48,000 | 売上 | 140,000 |
| クレジット売掛金 | 89,240 | ||
| 支払手数料 | 2,760 |
借方合計は48,000円+89,240円+2,760円=140,000円です。
手数料が入金時に判明する場合
問題文で販売時に手数料を計上する指示がなく、信販会社からの入金時に手数料額が通知された場合は、販売時に売上総額をクレジット売掛金として計上し、入金時に手数料を分けます。
販売時
取引:商品120,000円をクレジットカードで販売した。手数料は後日通知される。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
入金時
後日、手数料3,600円を差し引いた116,400円が普通預金へ入金されました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 116,400 | クレジット売掛金 | 120,000 |
| 支払手数料 | 3,600 |
普通預金116,400円+支払手数料3,600円=クレジット売掛金120,000円
問題文に「販売時に手数料を差し引いて処理する」とある場合は、販売時に純額のクレジット売掛金を計上します。いつ手数料を認識するかは問題文の指示を確認します。
普通売掛金との比較
| 比較 | 売掛金 | クレジット売掛金 |
|---|---|---|
| 回収相手 | 得意先 | 信販会社 |
| 発生原因 | 商品の掛販売 | クレジットカード販売 |
| 手数料 | 通常は決済条件による | 信販会社への決済手数料が発生しやすい |
| 補助管理 | 得意先元帳 | 信販会社別・入金日別などで管理 |
顧客がカードを利用していても、店舗が回収する相手は信販会社です。そのため通常の売掛金と区別します。
クレジット売掛金残高の管理
期首残高80,000円、当期発生194,000円と89,240円、当期入金200,000円であったとします。
期末残高=80,000円+194,000円+89,240円−200,000円=163,240円
クレジット売掛金は資産なので通常は借方残高です。
入金予定表
| 信販会社 | 未回収額 | 入金予定日 |
|---|---|---|
| Aカード | 90,000 | 5/10 |
| Bカード | 45,240 | 5/15 |
| Cカード | 28,000 | 5/20 |
| 合計 | 163,240 |
信販会社別未回収額の合計は、総勘定元帳のクレジット売掛金残高と一致する必要があります。
返品が発生した場合
クレジット販売した商品20,000円が、信販会社への請求確定前に返品されたとします。販売時に手数料600円を計上していた場合、問題文の条件に従い、売上・クレジット売掛金・支払手数料を取り消します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 20,000 | クレジット売掛金 | 19,400 |
| 支払手数料 | 600 |
実際の試験では、返品時の手数料取扱いが問題文で示される場合があります。指定された金額と科目に従います。
よくある誤り
誤り1:クレジットカード販売を現金売上にする
販売時点では信販会社から未入金なので、現金ではなくクレジット売掛金です。
誤り2:通常の売掛金を使う
回収相手は得意先本人ではなく信販会社です。標準科目クレジット売掛金を使います。
誤り3:決済手数料を売上から直接差し引く
売上は販売総額、手数料は支払手数料という費用です。
誤り4:手数料率を現金売上を含む総売上へ掛ける
手数料はクレジット売上部分だけに掛けます。
誤り5:販売時と入金時の両方で手数料を計上する
問題文の指定時点で一度だけ計上します。
誤り6:入金時に売上を再計上する
売上はカード販売時に計上済みです。入金時は債権を預金へ変えます。
誤り7:信販会社別残高と総勘定元帳を照合しない
未回収額の明細合計とクレジット売掛金残高を一致させます。
最終チェックリスト
- クレジットカード販売か確認したか
- 売上は販売総額で計上したか
- 手数料率をクレジット売上部分だけに掛けたか
- 手数料の計上時点を問題文で確認したか
- 支払手数料とクレジット売掛金の合計が売上額と一致したか
- 入金時にクレジット売掛金を取り崩したか
- 売上・手数料を二重計上していないか
- 信販会社別未回収額の合計を確認したか
- 返品時は問題文の手数料条件を確認したか
- 借方合計と貸方合計が一致しているか
第6章の練習問題では、普通掛取引、元帳、振込手数料、クレジット販売をまとめて確認してください。
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月19日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「商業簿記標準・許容勘定科目表」「簿記3級サンプル問題」