5-4 諸掛り
諸掛りは「仕入か売上か」と「誰の負担か」で決める
商品を運ぶための運賃、荷造費、保険料など、商品代金以外に発生する費用を諸掛り(しょがかり)といいます。
仕訳を決めるときは、次の順序で読みます。
- 仕入に関する費用か、売上に関する費用か
- 当店負担か、先方負担か
- 当店が実際に支払ったか
- 問題で使用する勘定科目が指定されているか
判断マトリクス
| 取引 | 費用負担 | 基本処理 |
|---|---|---|
| 仕入 | 当店負担 | 商品原価に含め、仕入で処理 |
| 仕入 | 仕入先負担・当店は支払わない | 当店の仕訳なし |
| 仕入 | 仕入先負担・当店が立替払い | 立替金、または買掛金を減額 |
| 売上 | 当店負担 | 発送費などの費用で処理 |
| 売上 | 得意先負担・当店は支払わない | 当店の仕訳なし |
| 売上 | 得意先負担・当店が立替払い | 立替金、または売掛金に加算 |
問題文の勘定科目候補に立替金があるか、掛代金とまとめて精算する指示があるかを確認します。
仕入諸掛り:当店負担
商品80,000円を掛けで仕入れ、当店負担の引取運賃16,000円を現金で支払いました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 96,000 | 買掛金 | 80,000 |
| 現金 | 16,000 |
仕入諸掛りは、商品を販売できる状態にするための取得原価です。発送費や支払運賃として分けず、仕入へ含めます。
商品有高帳の受入単価
80個を仕入れた場合は、商品代金だけでなく運賃も含めて単価を求めます。
(商品代金80,000円 + 引取運賃16,000円)÷ 80個 = 1,200円
商品有高帳には、受入単価1,200円、受入金額96,000円と記入します。
売上諸掛り:当店負担
商品120,000円を掛けで販売し、当店負担の発送運賃4,000円を後日支払うこととしました。
販売の仕訳:
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
発送運賃の仕訳:
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 発送費 | 4,000 | 未払金 | 4,000 |
売上高120,000円と発送費4,000円は分けて記録します。発送費を売上から直接差し引いたり、仕入へ加えたりしません。
「送料込み」で販売した場合
販売価格に送料相当額が含まれていても、問題文で当店負担の送料を費用処理すると指示されている場合は、販売価格全額を売上、実際の送料を発送費として分けます。
先方負担を当店が立て替えた場合
仕入先が負担する運賃を当店が支払った
商品100,000円を掛けで仕入れ、仕入先負担の運賃10,000円を現金で立て替えました。
立替金を使う方法
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 100,000 |
| 立替金 | 10,000 | 現金 | 10,000 |
買掛金と相殺する方法
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 100,000 | 買掛金 | 90,000 |
| 現金 | 10,000 |
後者は、仕入先へ支払う掛代金100,000円から、立て替えた10,000円を差し引く考え方です。
得意先が負担する運賃を当店が支払った
商品150,000円を掛けで販売し、得意先負担の運賃6,000円を現金で立て替えました。
立替金を使う方法
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 150,000 | 売上 | 150,000 |
| 立替金 | 6,000 | 現金 | 6,000 |
売掛金に含める方法
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 156,000 | 売上 | 150,000 |
| 現金 | 6,000 |
売掛金156,000円の内訳は、商品代金150,000円と立替運賃6,000円です。
解き方のチェックリスト
- 仕入側か売上側かを囲む
- 「当店負担」「先方負担」を確認する
- 先方負担なら、当店が立て替えたか確認する
- 当店負担の仕入諸掛りは取得原価へ含める
- 当店負担の売上諸掛りは発送費などへ分ける
- 勘定科目候補と問題文の指示を優先する
よくある誤り
| 誤り | 原因 |
|---|---|
| 仕入運賃を発送費にする | 仕入側と売上側を混同している |
| 売上運賃を仕入に含める | 取得原価と販売費を混同している |
| 先方負担の運賃を当店の費用にする | 費用負担者を読み落としている |
| 先方負担は常に立替金と決めつける | 掛金で精算する方法を見落としている |
| 商品有高帳に商品代金だけを記入する | 当店負担の仕入諸掛りを単価へ含めていない |
自検方法
- 当店負担の仕入諸掛りは商品原価に入っているか
- 当店負担の発送費は売上高と分けられているか
- 先方負担額が当店の費用になっていないか
- 立替金、売掛金、買掛金の増減が回収・支払関係と合っているか
- 商品有高帳の受入金額は商品代金と仕入諸掛りの合計か
次は5-5「補助簿と商品有高帳」で、仕入諸掛りを含む原価を先入先出法・移動平均法へつなげます。
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月18日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表」「商業簿記標準・許容勘定科目表」「簿記3級サンプル問題」