1-6 ハードウェア

最終更新 2026-07-22内容の作り方 →

ハードウェア

ハードウェアは、PC、サーバ、スマートフォン、入力装置、出力装置など、実際に触れられる物理的な機器です。ITパスポートでは装置名だけでなく、業務目的に合う機器を選び、利便性と情報セキュリティの両方を考える問題が出題されます。

この節の目標は、コンピュータと入出力装置の特徴を比較し、店舗、倉庫、工場、オフィスなどの場面で適切な装置を選べるようになることです。

1. コンピュータの種類を目的で選ぶ

種類 特徴 主な用途
PC 個人が操作し、汎用的な業務に使う 文書作成、表計算、Web会議
サーバ 複数の利用者や端末へ機能・データを提供する Web、ファイル共有、データベース
汎用コンピュータ 大量かつ重要な処理を安定して行う 金融機関や大規模基幹業務
スマートフォン・タブレット 携帯性と通信機能に優れる 外出先での入力、確認、撮影
ウェアラブル端末 身に着けて継続的に情報を取得できる 健康管理、位置・作業状況の把握
組込み機器 特定の目的に合わせて機器へ組み込まれる 自動車、家電、産業装置

「性能が最も高い機器」が常に正解ではありません。処理量、携帯性、設置場所、連続稼働、費用、保守のしやすさを比較します。

2. 入力装置は取得したい情報から決める

入力装置 取得する情報 活用例
キーボード 文字・数値 伝票や文書の入力
マウス・タッチパネル 位置・選択操作 画面操作、セルフレジ
イメージスキャナ 紙の画像 契約書や図面の電子化
OCR 画像内の文字 紙帳票を文字データへ変換
バーコードリーダ 商品・管理コード POS、在庫管理、配送確認
ICカード・RFIDリーダ カードやタグの識別情報 入退室、勤怠、在庫追跡
Webカメラ 画像・映像 Web会議、遠隔確認
マイク 音声 音声入力、会議記録

スキャナは紙面を画像として取り込み、OCRはその画像から文字を認識します。スキャナだけで必ず編集可能な文字データになるわけではありません。

3. 出力装置は利用者と目的で決める

出力装置 特徴 選択時の観点
液晶・有機ELディスプレイ 文字、画像、映像を表示する 画面サイズ、解像度、消費電力
プロジェクタ 多人数へ大きく投影する 明るさ、投影距離、設置環境
プリンタ 紙へ出力する 印刷量、速度、画質、消耗品費
3Dプリンタ 立体物を造形する 試作品、部品、教育用モデル
ヘッドマウントディスプレイ 視野内に映像を表示する VR訓練、遠隔支援、没入型表示
スピーカ 音声を出力する 案内、警告、会議音声

プリンタは本体価格だけで判断せず、インクやトナー、保守、電力を含む運用コストも考えます。

4. IoTはセンサとアクチュエータで考える

センサは現実世界の状態を測定し、アクチュエータはシステムからの指示を物理的な動作へ変えます。

種類 役割
温度・湿度センサ 環境の状態を測る 倉庫や温室の監視
加速度・ジャイロセンサ 動き、傾き、回転を測る 転倒検知、姿勢制御
光学・赤外線センサ 光、物体、人の有無を検知する 自動照明、通過検知
GPS 位置情報を取得する 配送車両や携帯端末の位置確認
カメラ 画像や映像を取得する 検品、防犯、混雑分析
モーター・シリンダ 指示に従って物を動かす バルブ開閉、搬送、ロボット制御

完全ケース:食品倉庫の温度管理

冷蔵倉庫では、温度が基準を超えたときに商品品質が低下するおそれがあります。そこで温度センサを各区画に設置し、一定間隔で測定値をサーバへ送ります。

  1. 温度センサが値を取得する。
  2. 通信装置が測定値をネットワーク経由で送信する。
  3. サーバが基準値と比較し、異常を判定する。
  4. 異常時は担当者の端末へ通知する。
  5. 必要ならアクチュエータを使って冷却設備を制御する。

このケースでGPSを使っても温度は測れません。取得したい情報とセンサの種類を対応させる必要があります。また、自動制御を行うなら、誤検知時の停止方法や人による確認手順も必要です。

5. 記録媒体を容量・速度・可搬性で比較する

媒体 特徴 主な注意点
SSD 高速で衝撃に比較的強い 書込み回数には限界がある
HDD 大容量で単価が比較的低い 衝撃や機械的故障に注意する
光ディスク 配布や長期保存に使われる 容量、対応機器、劣化を確認する
USBメモリ・SDカード 小型で持ち運びやすい 紛失、持出し、マルウェア感染
磁気テープ 大容量バックアップに向く 順次アクセスで、即時参照には不向き

バックアップ媒体を用意しただけでは、復旧できる保証はありません。保管場所を本番機器と分け、暗号化、世代管理、復元試験を行います。

6. 完全ケース:倉庫の入出荷を効率化する

紙の入出荷票を手入力している倉庫で、入力ミスと処理遅延を減らしたいとします。

  • 商品識別にはバーコードリーダまたはRFIDリーダを使う。
  • 作業者が移動しながら確認するため、携帯可能なタブレットを使う。
  • 商品ラベルを出力するため、業務量に合ったプリンタを使う。
  • データは端末だけに保存せず、サーバや業務システムへ送信する。
  • 端末の紛失に備え、画面ロック、認証、遠隔消去などを設定する。

単にタブレットを導入するだけでは業務改善になりません。入力方法、ネットワーク、データ保存、障害時の代替手順まで一連の流れとして設計します。

7. よくある誤りと理由

  • スキャナとOCRを同じものと考える:スキャナは画像を取得し、OCRは画像から文字を認識します。
  • センサが機器を動かすと考える:測定はセンサ、物理的な動作はアクチュエータです。
  • USBメモリを安全なバックアップと考える:紛失、故障、感染に備えた管理が必要です。
  • 本体価格だけで機器を選ぶ:消耗品、保守、電力、交換を含む運用費用も比較します。
  • 高性能な機器ほど最適と考える:目的、設置環境、携帯性、稼働時間に合うことが重要です。

8. セルフチェック

  • 取得したい情報は文字、画像、識別コード、位置、温度のどれか。
  • 入力、処理、保存、出力、物理動作の役割を区別したか。
  • 機器の速度だけでなく、携帯性、費用、故障、情報漏えいを考えたか。
  • IoTではセンサ、通信、サーバ、通知・制御の流れを確認したか。

理解を確認したら、第1章の練習問題第1章の知識カードで装置を選んでください。CPUやメモリとの関係は、コンピュータ構成要素で確認できます。

公式範囲との対応

本節は、IPA「ITパスポート試験シラバス Ver.6.5」のハードウェア分野に対応し、PC、サーバ、携帯端末、代表的な入力装置・出力装置とその特徴を扱います。IoTデバイスや入出力インタフェースとの関係も併せて整理しています。

この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう