2-1 情報デザイン

最終更新 2026-07-22内容の作り方 →

情報デザイン

情報デザインは、利用者が必要な情報を見つけ、意味を理解し、迷わず行動できるように設計する考え方です。見た目の美しさだけでなく、情報構造、操作手順、エラー防止、アクセシビリティ、利用後の体験まで含みます。

この節の目標は、利用者と目的を明確にし、UI・UX・ユーザビリティ・アクセシビリティを区別し、画面、フォーム、図表、案内を改善できるようになることです。

1. UI・UX・ユーザビリティを区別する

用語 主な意味 確認する問い
UI 利用者とシステムの接点 ボタン、入力欄、メニューは分かりやすいか
UX 利用前から利用後までの体験全体 目的を気持ちよく達成できたか
ユーザビリティ 特定の利用状況での有効さ、効率、満足度 正確に、短時間で、負担少なく使えるか
アクセシビリティ 障害、年齢、環境などにかかわらず利用できる度合い キーボードや読み上げでも利用できるか
ユニバーサルデザイン 最初からできるだけ多くの人が使えるように設計する考え方 特別対応を後付けせず利用範囲を広げられるか

見やすい画面でも、申請完了まで何度も同じ情報を入力させるならUXは良いとは限りません。

2. 利用者中心で設計する手順

  1. 利用者を把握する:年齢、知識、端末、利用環境、支援技術を確認します。
  2. 目的とタスクを定義する:利用者が何を達成したいかを明確にします。
  3. 現状の困りごとを観察する:迷う場所、誤操作、問い合わせを記録します。
  4. 情報構造と操作の流れを設計する:重要情報と次の行動を整理します。
  5. 試作品を作る:紙や簡易画面で早期に確認します。
  6. 利用者テストを行う:説明せずに目的を達成できるか観察します。
  7. 結果を基に改善する:成功率、時間、誤操作、発言を分析します。

設計者自身が使えることは、利用者全員が使えることを意味しません。

3. 完全ケース:住所変更フォームを改善する

社員向け住所変更フォームで、入力エラーが多く、問い合わせも増えています。現状は必須項目が分からず、エラー時に「入力が正しくありません」とだけ表示されます。

改善例は次のとおりです。

  • 必須項目を文字と記号で明示する。
  • 郵便番号の入力例を表示する。
  • 住所自動入力後も利用者が確認・修正できるようにする。
  • エラーを該当項目の近くへ表示し、原因と修正方法を示す。
  • 入力済みの正常な項目を消さない。
  • 送信前に変更内容を確認できる画面を用意する。
  • 完了後に受付番号と次の手続を表示する。

色を赤にするだけでは、色を識別しにくい利用者へ伝わらない場合があります。アイコンや文章も併用します。

4. 情報を分かりやすく構造化する

原則 内容
近接 関係する情報を近くに置く 項目名、入力欄、説明、エラーをまとめる
整列 要素の位置をそろえる ラベルや数値の桁をそろえる
反復 同じ役割へ一貫した表現を使う 主要ボタンの形と文言を統一する
対比 重要度や違いを明確にする 見出し、余白、文字サイズで階層を示す
一貫性 同じ操作は同じ結果にする 戻る、保存、削除の位置や動作を統一する

情報を目立たせるために全てを太字・大文字にすると、かえって優先順位が分からなくなります。

5. ナビゲーションと操作を設計する

  • 現在地をパンくずリストや見出しで示す。
  • メニュー名は組織内部の用語ではなく、利用者の目的に合わせる。
  • 重要な操作は見つけやすくし、危険な操作は確認を求める。
  • 戻る操作で入力内容を失わないようにする。
  • 処理中、成功、失敗をフィードバックする。
  • 取り消せる操作は、可能な範囲で元に戻せるようにする。

「保存」なのか「申請」なのか「公開」なのか、結果が異なる操作は具体的な動詞で示します。

6. アクセシビリティの基本

観点 対応例
知覚可能 文字と背景のコントラスト、画像の代替テキスト、字幕
操作可能 キーボード操作、十分な操作時間、明確なフォーカス表示
理解可能 平易な文、予測可能な操作、具体的なエラー説明
堅牢 支援技術が解釈できる適切な構造とラベル

色だけ、音だけ、位置だけで意味を伝えないことが重要です。画像の代替テキストは見た目の説明ではなく、その画像が伝える目的に合わせます。

7. 図表を目的で選ぶ

図表 向いている目的 不向きな使い方
棒グラフ 項目間の数量比較 細かな時系列変化
折れ線グラフ 時間に沿った変化 順序のないカテゴリ比較
円グラフ 少数項目の構成比 項目が多い、差が小さい比較
散布図 二つの数値の関係 時系列の推移
ヒストグラム 連続値の分布 個別項目の名称比較
正確な値の参照 大量データの傾向把握

グラフの軸、単位、期間、母数を明示します。縦軸を途中から始めると差を過大に見せる場合があります。

8. 情報発信の品質を確認する

  1. 誰に何を伝えるか決める。
  2. 出典、更新日、対象期間を確認する。
  3. 事実、推測、意見を区別する。
  4. 見出しと要約で全体像を示す。
  5. 数値の単位、母数、比較条件をそろえる。
  6. 公開前に誤解、権利、個人情報を確認する。
  7. 公開後に問い合わせや利用状況を基に改善する。

9. よくある誤りと理由

  • 情報デザインを装飾と考える:利用者の理解と行動を支援する設計です。
  • UIが良ければUXも必ず良い:待ち時間、手続全体、サポートも体験へ影響します。
  • 色だけでエラーを示す:色を識別できない利用者へ伝わりません。
  • エラー文を「不正です」だけにする:対象項目と修正方法が必要です。
  • 項目を増やすほど親切と考える:必要情報を選び、段階的に提示します。
  • グラフなら表より常に分かりやすい:正確な値の参照には表が適する場合があります。
  • 設計者の説明を聞けば使えるので問題ない:説明なしで目的を達成できるか確認します。

10. セルフチェック

  • 利用者、利用環境、達成したいタスクを定義したか。
  • UI、UX、ユーザビリティ、アクセシビリティを区別したか。
  • 情報の優先順位と次の行動が明確か。
  • エラーの原因と修正方法を示したか。
  • 色、音、画像だけに意味を依存していないか。
  • 図表の種類が伝えたい内容に合っているか。

理解を確認したら、第2章の練習問題第2章の知識カードで設計判断を確認してください。画像・音声・動画の形式は情報メディア、データ分析の読み方は基礎理論で学びます。

公式範囲との対応

本節は、IPA「ITパスポート試験シラバス Ver.6.5」の情報デザイン、インタフェース設計に対応し、UI、UX、ユーザビリティ、アクセシビリティ、ユニバーサルデザイン、図表、情報構造を扱います。

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