2-2 情報メディア

最終更新 2026-07-22内容の作り方 →

情報メディア

情報メディアでは、文字、画像、音声、動画をデジタルデータとして表現・保存・配信する仕組みを学びます。ITパスポートでは、ファイル形式の名称だけでなく、画質、音質、容量、拡大、透過、圧縮、配信方法などの条件から適切な形式を選ぶ問題が出題されます。

この節の目標は、画像・音声・動画のデータ量を概算し、可逆・非可逆圧縮、ラスタ・ベクタ、コーデック・コンテナを区別し、用途に合う媒体形式を選べるようになることです。

1. アナログ情報をデジタル化する

現実の音や画像は連続的に変化します。コンピュータで扱うため、一定の単位へ区切り、数値で表します。

処理 内容 音声での例
標本化 一定間隔で値を測る 1秒間に何回測定するか
量子化 測定値を段階的な数値へ置き換える 何ビットで音の大きさを表すか
符号化 数値をビット列として表す 保存・通信できる形式へ変える

サンプリング周波数が高いほど時間方向を細かく測れ、量子化ビット数が大きいほど振幅を細かく表せます。ただしデータ量も増えます。

2. 画像のデータ量を求める

圧縮前の画像データ量は、概ね次の式で求めます。

横画素数×縦画素数×1画素当たりのビット数

横1000画素、縦800画素、24ビットカラーの画像なら、

1000×800×24=19,200,000ビットです。

8で割ると2,400,000バイト、約2.4MBです。実際のファイルはヘッダや圧縮方式によって変わります。

色数とビット数の関係も確認します。8ビットなら2の8乗=256色、24ビットなら赤・緑・青を各8ビットで表し、約1677万色を表現できます。

3. ラスタ画像とベクタ画像

形式 表現方法 向いている用途
ラスタ画像 画素の集合で表す 写真、複雑な陰影、スキャン画像
ベクタ画像 線、曲線、図形を数式で表す ロゴ、アイコン、図面、拡大表示

ラスタ画像を大きく拡大すると画素が目立ちます。ベクタ画像は再計算して描画するため、一般に拡大しても輪郭が劣化しにくい特徴があります。

4. 画像形式を目的で選ぶ

形式 特徴 適した用途
JPEG 写真向けの非可逆圧縮。透過には通常対応しない 写真、Web掲載画像
PNG 可逆圧縮。透過に対応する 画面キャプチャ、図、透過画像
GIF 色数が少なく、簡単なアニメーションに対応 小さなアニメーション、単純な図
SVG XMLベースのベクタ形式 ロゴ、アイコン、拡大する図形
WebPなど 画像を効率よく圧縮する形式 対応環境を確認したWeb配信

完全ケース:商品サイトの画像を選ぶ

ECサイトで次の素材を用意します。

  • 商品写真:色や陰影が多いためJPEGなどの写真向け形式
  • 透明背景のブランドロゴ:PNGまたはSVG
  • サイズを変えて使う単純なアイコン:SVG
  • 文字を鮮明に残した画面キャプチャ:PNG

すべてJPEGにすると、ロゴの透過が使えず、文字周辺に圧縮ノイズが出る場合があります。目的ごとに形式を分けます。

5. 音声のデータ量を計算する

圧縮前の音声データ量は、概ね次の式で求めます。

サンプリング周波数×量子化ビット数×チャンネル数×時間

44.1kHz、16ビット、ステレオ、10秒なら、

44,100×16×2×10=14,112,000ビットです。

8で割ると1,764,000バイト、約1.76MBです。MP3などで圧縮すると容量は小さくなりますが、方式とビットレートによって音質が変わります。

6. 動画の要素を理解する

要素 内容 影響
解像度 1画面の画素数 高いほど精細だが容量・処理量が増える
フレームレート 1秒間の画像枚数 高いほど動きが滑らかだがデータ量が増える
ビットレート 1秒当たりのデータ量 高いほど画質・音質を保ちやすいが通信量が増える
コーデック 映像・音声を符号化・復号する方式 圧縮率、品質、対応機器に影響する
コンテナ 映像、音声、字幕などをまとめるファイル形式 MP4など。中で使うコーデックとは別概念

「MP4だから必ず同じ映像方式」とは限りません。コンテナとコーデックを区別します。

7. 圧縮方式を使い分ける

圧縮 特徴
可逆圧縮 元データへ完全に戻せる ZIP、PNGなど
非可逆圧縮 人が気付きにくい情報などを削り、容量を大きく減らす JPEG、MP3など

契約書、プログラム、数値データのように一部の欠落も許されないデータには可逆圧縮が必要です。写真・音楽・動画は、用途に応じて非可逆圧縮を利用できます。

一度強く非可逆圧縮したデータを再保存しても、失われた情報は戻りません。編集用の元データを別に保管します。

8. ストリーミングとダウンロード

方式 内容 特徴
ダウンロード ファイルを端末へ保存してから利用する オフライン利用しやすいが保存容量が必要
プログレッシブダウンロード 受信済み部分から再生する 見かけはストリーミングに近い場合がある
ストリーミング 受信しながら連続的に再生する 長い動画を待たずに再生しやすい
ライブ配信 撮影・生成とほぼ同時に配信する 遅延、回線、障害への対応が重要

通信速度がビットレートを下回ると、再生が途中で止まりやすくなります。アダプティブビットレート配信では、回線状態に応じて画質を切り替えます。

9. 完全ケース:社内研修動画を配信する

全国の社員へ30分の研修動画を配信します。社員はPCとスマートフォンを使い、通信環境も異なります。

確認すべき事項は次のとおりです。

  1. 画面上の小さな文字が読める解像度を確保する。
  2. 回線が遅い利用者向けに複数のビットレートを用意する。
  3. 音声だけに依存せず字幕を付ける。
  4. 動画内の重要図表には説明を加える。
  5. 対応ブラウザ・端末で再生テストを行う。
  6. 機密情報がある場合は認証、権限、保存・共有制限を設定する。
  7. 元動画と配信用圧縮ファイルを分けて保管する。

高画質を優先しすぎると通信負荷が増え、利用できない社員が出る可能性があります。目的と利用環境を基に品質を決めます。

10. 形式を選ぶ判断手順

  1. 内容は文字、写真、図形、音声、動画のどれか。
  2. 編集用か、配布用か、長期保存用か。
  3. 拡大、透過、完全復元が必要か。
  4. 許容できる画質・音質と容量を決める。
  5. 利用端末、ソフト、ブラウザの対応状況を確認する。
  6. ネットワーク速度と配信方法を確認する。
  7. アクセシビリティ、権利、個人情報を確認する。

11. よくある誤りと理由

  • 解像度が高ければ常に最適と考える:容量、表示サイズ、通信、処理性能も考えます。
  • JPEGは可逆圧縮と考える:一般に非可逆圧縮です。
  • PNGは写真に常に最適と考える:可逆で容量が大きくなる場合があります。
  • SVGは画素の集合と考える:図形をベクタで表します。
  • MP4とコーデックを同じと考える:MP4はコンテナで、中の符号化方式とは別です。
  • 非可逆圧縮後に元画質へ戻せると考える:削除された情報は戻りません。
  • ストリーミングは端末へ一切データを受信しないと考える:再生には順次データを受信します。

12. セルフチェック

  • ラスタとベクタを用途で区別したか。
  • 画像・音声のデータ量でbitとbyteを換算したか。
  • 可逆と非可逆のどちらが必要か。
  • コーデックとコンテナを区別したか。
  • 回線速度、ビットレート、端末対応を確認したか。
  • 字幕、代替情報、権利・個人情報を確認したか。

理解を確認したら、第2章の練習問題第2章の知識カードで形式と容量を判断してください。伝え方とアクセシビリティは情報デザイン、通信速度はネットワークで確認できます。

公式範囲との対応

本節は、IPA「ITパスポート試験シラバス Ver.6.5」のマルチメディア技術、マルチメディア応用に対応し、画像・音声・動画、デジタル化、ファイル形式、圧縮、コーデック、ストリーミングを扱います。

この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう