2-4 ネットワーク

最終更新 2026-07-22内容の作り方 →

ネットワーク

ネットワークは、複数の機器が共通のルールに従ってデータをやり取りする仕組みです。ITパスポートでは、用語を暗記するだけでなく、「どの装置がどこへ転送するか」「名前から接続先をどう特定するか」「用途に合う通信方式はどれか」を判断する力が求められます。

この節の目標は、社内端末がWebサービスへ接続するまでの流れを説明し、LAN・WAN、ルーター・スイッチ、DNS・DHCP・NAT、代表的なプロトコルを使い分けられるようになることです。

1. ネットワークの範囲と構成要素

用語 主な役割 判断のポイント
LAN 建物や拠点内の機器を接続する 家庭、学校、会社のフロアなど限られた範囲
WAN 離れた拠点のLAN同士を接続する 通信事業者の回線などを利用する
スイッチ 同じLAN内で、宛先に応じてフレームを転送する MACアドレスを基に転送先を選ぶ
ルーター 異なるネットワーク間でパケットを転送する IPアドレスを基に次の経路を選ぶ
アクセスポイント 無線端末をLANへ接続する Wi-Fiの電波と有線LANを中継する
NIC 端末をネットワークへ接続するインタフェース 有線・無線の通信機能を持つ

スイッチとルーターは役割が異なります。同じ社内LANの端末同士を接続する中心はスイッチ、社内LANからインターネットなど別のネットワークへ出る境界はルーターです。

2. IPアドレスから通信先を決める

用語 内容 典型的な利用場面
IPアドレス ネットワーク上の機器や接続先を識別する番号 パケットの送信元・宛先を示す
サブネットマスク IPアドレスのネットワーク部分と端末部分を区別する 宛先が同一ネットワーク内かを判断する
デフォルトゲートウェイ 別ネットワークへ送る際の出口 通常はルーターのアドレスを設定する
DHCP IPアドレスなどの設定を端末へ自動配布する 多数の端末を手作業なしで設定する
DNS ドメイン名とIPアドレスを対応付ける example.com の接続先を調べる
NAT プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを変換する 複数の社内端末がインターネットへ接続する

完全ケース:社内PCからWebサイトを開く

新しいPCを社内LANへ接続し、ブラウザでWebサイトを開く場面を考えます。

  1. PCはDHCPサーバからIPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバの情報を受け取ります。
  2. 利用者がドメイン名を入力すると、PCはDNSサーバへ問い合わせてWebサーバのIPアドレスを取得します。
  3. 接続先が社外ネットワークにあるため、PCはデータをデフォルトゲートウェイへ送ります。
  4. ルーターはNATで社内のプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスへ変換し、インターネット側へ転送します。
  5. HTTPSを利用する場合、通信内容を暗号化してWebサーバとやり取りします。

この流れでは、DNSがIPアドレスを「配布」するわけではありません。名前解決はDNS、端末設定の自動配布はDHCPです。

3. 通信プロトコルの役割

プロトコルは、通信する双方が守る共通の手順や形式です。

プロトコル 主な用途 覚え方
HTTP / HTTPS WebページやWeb APIの通信 HTTPSはTLSによって暗号化する
SMTP 電子メールを送信・中継する 送信側
POP メールを端末へ取得する 端末へダウンロードして読む用途
IMAP サーバ上のメールを管理する 複数端末で状態を共有しやすい
FTP ファイルを転送する 認証情報やデータの保護に注意する
NTP 機器の時刻を合わせる ログ時刻の整合にも重要
TCP 到達確認や再送を行い、信頼性を重視する Webやメールなど正確性を重視する通信
UDP 到達確認を簡略化し、速度やリアルタイム性を重視する 音声・映像配信などで利用される

OSI基本参照モデルは7層、TCP/IP階層モデルは4層で通信機能を整理します。試験では全ての詳細を暗記するより、IPが経路選択、TCP・UDPが端末間通信、HTTPなどがアプリケーションの規則という関係を押さえます。

4. 通信速度を計算する

通信速度は通常 bps(bit per second)、ファイル容量はB(byte)で表されます。1バイトは8ビットです。

100MBのファイルを100Mbpsの回線で送る理論上の最短時間は、次のように求めます。

  1. 100MBをビットへ直す:100×8=800Mbit
  2. 速度で割る:800Mbit÷100Mbps=8秒

実際には通信制御用のデータ、回線混雑、機器性能などがあるため、8秒より長くなるのが普通です。計算問題では、まずbitとbyteの単位をそろえます。

5. 無線・IoT通信を選ぶ

通信方式 特徴 向いている用途
Wi-Fi 比較的高速でLAN接続に使う PC、スマートフォン、社内端末
Bluetooth / BLE 近距離で低消費電力 イヤホン、ウェアラブル、センサ
NFC 数cm程度の近距離通信 ICカード、決済、機器の認証
LTE / 5G 移動体通信網を利用する 屋外や移動中の広域通信
LPWA 低速だが長距離・低消費電力 少量データを送る遠隔センサ
メッシュWi-Fi 複数の中継点で範囲を広げる 広い建物や電波の届きにくい場所

IoTでは「最も速い方式」を選べばよいとは限りません。送信データ量、距離、電源、設置場所、通信頻度を比較します。山間部の水位センサが少量のデータを電池で長期間送るなら、低消費電力で広範囲をカバーするLPWAが候補になります。

6. よくある誤りと理由

  • DNSとDHCPを混同する:DNSは名前解決、DHCPはIPアドレスなどの自動設定です。
  • スイッチとルーターを同じ装置と考える:スイッチは主に同一LAN内、ルーターは異なるネットワーク間を接続します。
  • HTTPSなら接続先も必ず安全だと考える:HTTPSは通信経路を暗号化しますが、サイト自体の信頼性を保証するものではありません。
  • 100MBを100Mbpsで1秒とする:byteとbitの換算が必要です。
  • IoT通信は速度だけで選ぶ:距離、消費電力、データ量、費用も判断条件です。

7. セルフチェック

  • 宛先は同じLAN内か、ルーターを越える別ネットワークか。
  • 問われているのは名前解決、設定配布、アドレス変換、経路選択のどれか。
  • 通信速度のbitとデータ容量のbyteをそろえたか。
  • 無線方式を距離、速度、消費電力、データ量で比較したか。

理解を確認したら、第2章の練習問題第2章の知識カードで役割を判定してください。端末側の通信インタフェースは、コンピュータ構成要素で確認できます。

公式範囲との対応

本節は、IPA「ITパスポート試験シラバス Ver.6.5」のネットワーク方式、通信プロトコル、ネットワーク応用に対応し、LAN・WAN、接続装置、IPアドレス、DNS、DHCP、NAT、TCP/IP、無線LAN、IoT通信などを扱います。

この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう