11-4 消耗品の処理
この節の目標
- 「貯蔵品」と「消耗品費」の違いを説明できる
- 購入時の処理方法から、決算整理で使う金額を判断できる
- 使用額と未使用額を計算できる
- P/LとB/Sへの影響を確認できる
対応範囲:日商簿記3級・2026年度出題区分表 最終確認日:2026年7月17日
貯蔵品と消耗品費
文房具、コピー用紙、包装材料などは、使用した分だけが当期の費用です。決算日に未使用で残っている部分は、翌期以降に使用できる資産となります。
現行の日商簿記3級で使用する標準的な科目は次のとおりです。
| 科目 | 性質 | 意味 |
|---|---|---|
| 消耗品費 | 費用 | 当期に使用した部分 |
| 貯蔵品 | 資産 | 決算日に未使用で残る部分 |
購入時に費用処理したか、資産処理したかによって、決算整理で振り替える金額が変わります。
判断マトリクス
| 購入時の処理 | 決算時に求める金額 | 決算整理仕訳 |
|---|---|---|
| 全額を消耗品費とした | 未使用額 | 借:貯蔵品/貸:消耗品費 |
| 全額を貯蔵品とした | 使用額 | 借:消耗品費/貸:貯蔵品 |
パターン1:購入時に全額を費用処理
期中に消耗品80,000円を購入し、全額を消耗品費として処理しました。決算日に20,000円が未使用でした。
購入時の仕訳:
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 80,000 | 現金預金 | 80,000 |
未使用20,000円は当期の費用ではないため、資産へ戻します。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 貯蔵品 | 20,000 | 消耗品費 | 20,000 |
整理後:
- 消耗品費:80,000-20,000=60,000円
- 貯蔵品:20,000円
パターン2:購入時に全額を資産処理
期中に消耗品80,000円を購入し、全額を貯蔵品として処理しました。決算日の未使用額は20,000円です。
使用額は次のとおりです。
80,000-20,000=60,000円
使用した60,000円を費用へ振り替えます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 60,000 | 貯蔵品 | 60,000 |
整理後:
- 消耗品費:60,000円
- 貯蔵品:20,000円
二つの方法は決算整理仕訳が逆ですが、整理後のP/LとB/Sは同じになります。
P/LとB/Sへの影響
| 科目 | 記載先 | 金額の意味 |
|---|---|---|
| 消耗品費 | P/L借方 | 当期使用額 |
| 貯蔵品 | B/S借方 | 期末未使用額 |
重要なのは、購入額をそのまま費用や資産と決めつけず、当期使用額と期末未使用額に分けることです。
前払費用との違い
貯蔵品も前払費用も資産ですが、内容が異なります。
| 科目 | 決算日に残っているもの | 例 |
|---|---|---|
| 貯蔵品 | 未使用の物品 | 用紙、文房具、包装材料 |
| 前払費用 | 翌期に受けるサービス | 翌期分保険料、翌期分家賃 |
物が残っているなら貯蔵品、サービスを受ける権利が残っているなら前払費用と判断します。
よくある誤り
| 誤り | 原因 | 正しい考え方 |
|---|---|---|
| 資産科目を「消耗品」とする | 科目体系が古い・不統一 | 現行3級では「貯蔵品」を使用 |
| 費用処理なのに使用額を仕訳する | 購入時処理を確認していない | 費用処理なら未使用額を戻す |
| 資産処理なのに未使用額を仕訳する | 決算後残高と振替額を混同 | 資産処理なら使用額を費用化 |
| 購入額=当期費用とする | 未使用分を無視 | 使用額だけが当期費用 |
| 貯蔵品をP/Lへ記入する | 資産と費用を混同 | 貯蔵品はB/S借方 |
自己チェック
- 購入時に消耗品費か貯蔵品のどちらで処理したか
- 問題文が与えているのは使用額か未使用額か
- 必要なら「購入額-未使用額」で使用額を求めたか
- 整理後の貯蔵品残高が未使用額と一致するか
- 整理後の消耗品費が使用額と一致するか
次の学習
貯蔵品と消耗品費は、第12章の精算表でB/SとP/Lに分けて記入します。
この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう