4-2 当座預金・小切手・当座借越
当座預金は小切手による決済に使う預金
当座預金は、会社が小切手などを使って事業上の支払いを行うための預金です。預け入れれば資産が増え、小切手を振り出して支払えば資産が減ります。
このページでは、次の判断を一つの流れで身につけます。
- 自社振出し小切手と他人振出し小切手を区別する
- 小切手の受取・預入・振出しを仕訳する
- 当座預金出納帳で残高を確認する
- 当座借越契約がある通常取引を処理する
- 決算時の当座借越振替と翌期首の振戻しを行う
小切手の処理は、誰が振り出したか・いつの処理か・決算時か通常取引時かで決まります。
自社振出しと他人振出しの比較
| 小切手 | 受け取る・渡す側の処理 | 主な科目 |
|---|---|---|
| 他人振出し小切手を受け取る | 直ちに換金できるものを取得 | 現金の増加 |
| 他人振出し小切手を銀行へ預ける | 現金を当座預金へ移す | 当座預金/現金 |
| 自社が小切手を振り出して渡す | 当座預金から支払ったものとする | 当座預金の減少 |
| 以前に自社が振り出した小切手を受け取る | 当座預金の支払が取り消される | 当座預金の増加 |
現金を当座預金へ預け入れる
取引:現金100,000円を当座預金へ預け入れた。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
資産である当座預金が増え、手元現金が減ります。
他人振出し小切手を当座預金へ預け入れる
4-1で得意先から受け取った小切手84,000円は、受取時に現金として処理しています。翌日、銀行へ預け入れたときは次の仕訳です。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 84,000 | 現金 | 84,000 |
受取時に直接当座預金とするのではなく、受取時と預入時を分けます。
自社が小切手を振り出す
取引:買掛金150,000円を支払うため、自社の小切手を振り出して仕入先へ渡した。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 150,000 | 当座預金 | 150,000 |
銀行でまだ引き落とされていなくても、会社の帳簿では振出時に当座預金を減らします。
自社振出し小切手を受け取った場合
以前、買掛金支払いのために振り出した自社小切手30,000円が、仕入先から売掛金の回収として戻ってきたとします。
この小切手は他人振出しではありません。自社の当座預金からの支払いが取り消されるため、当座預金を増やします。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 30,000 | 売掛金 | 30,000 |
現金を使わない点に注意します。
連続ケース:当座預金出納帳
青葉サービス株式会社の当座預金残高は、4月1日時点で210,000円でした。
| 日付 | 取引 |
|---|---|
| 4/4 | 他人振出し小切手84,000円を預け入れた |
| 4/10 | 買掛金150,000円を自社振出し小切手で支払った |
| 4/18 | 売掛金60,000円が当座預金へ振り込まれた |
| 4/25 | 備品70,000円を購入し、小切手を振り出して支払った |
仕訳
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4/4 | 当座預金 | 84,000 | 現金 | 84,000 |
| 4/10 | 買掛金 | 150,000 | 当座預金 | 150,000 |
| 4/18 | 当座預金 | 60,000 | 売掛金 | 60,000 |
| 4/25 | 備品 | 70,000 | 当座預金 | 70,000 |
当座預金出納帳
金額単位:円
| 日付 | 摘要 | 預入 | 引出 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 4/1 | 前月繰越 | 210,000 | 210,000 | |
| 4/4 | 現金 | 84,000 | 294,000 | |
| 4/10 | 買掛金 | 150,000 | 144,000 | |
| 4/18 | 売掛金 | 60,000 | 204,000 | |
| 4/25 | 備品 | 70,000 | 134,000 |
当座預金残高 = 前の残高 + 預入 − 引出
当座借越契約がある場合
銀行との契約により、当座預金残高を超えて小切手を振り出せることがあります。これを当座借越といいます。
通常取引時
支払直前の当座預金残高が210,000円で、買掛金260,000円を小切手で支払ったとします。決算日ではありません。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 260,000 | 当座預金 | 260,000 |
通常取引時は、残高210,000円と借越分50,000円へ分割せず、全額を当座預金で処理します。当座預金勘定は貸方残高50,000円になります。
210,000円 − 260,000円 = 貸方残高50,000円
決算時の振替
当座預金の貸方残高50,000円は、決算時に負債の当座借越へ振り替えます。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 50,000 | 当座借越 | 50,000 |
これにより、当座預金残高はゼロとなり、B/Sには当座借越50,000円が負債として表示されます。
翌期首の振戻し
翌期首に、前期末の当座借越を当座預金勘定へ戻す指定がある場合は、決算仕訳を逆にします。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 当座借越 | 50,000 | 当座預金 | 50,000 |
当座預金は再び貸方残高50,000円から通常処理を開始します。
通常取引と決算処理を区別する
| 場面 | 処理 |
|---|---|
| 期中に残高を超えて小切手を振り出す | 全額を当座預金の貸方 |
| 決算時に当座預金が貸方残高 | 当座預金から当座借越へ振替 |
| 翌期首に振戻しを求められる | 当座借越から当座預金へ戻す |
よくある誤り
誤り1:他人振出し小切手を受け取った時点で当座預金にする
受取時は現金です。預け入れた時点で当座預金へ振り替えます。
誤り2:自社振出し小切手を現金の減少にする
自社小切手は当座預金から支払うため、貸方は当座預金です。
誤り3:銀行の引落日まで仕訳しない
会社の帳簿では、小切手を振り出して相手へ渡した時点で当座預金を減らします。
誤り4:通常取引で当座借越を直接使う
三級の通常処理では、期中は当座預金で処理し、貸方残高を決算時に当座借越へ振り替えます。
誤り5:決算時の振替方向を逆にする
貸方残高の当座預金をゼロにするため当座預金を借方、負債を増やすため当座借越を貸方にします。
誤り6:翌期首に同じ仕訳をもう一度行う
振戻しは前期末決算仕訳の逆です。
検算チェック
- 小切手の振出人を確認したか
- 他人振出し小切手の受取と銀行預入を分けたか
- 自社振出し小切手は当座預金を減らしたか
- 当座預金出納帳の残高を再計算したか
- 通常取引と決算振替を区別したか
- 決算後の当座預金貸方残高が当座借越へ移ったか
- 翌期首の振戻しは決算仕訳と逆になっているか
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月18日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「商業簿記標準・許容勘定科目表」「簿記3級サンプル問題」