8-5 税金・消費税の債権と債務
簿記3級で扱う税金
税金の処理では、会社の費用としてその場で処理するものと、決算で費用と未払額を計上するもの、売上・仕入に伴う消費税を区別します。
日商簿記3級の主な範囲は次のとおりです。
- 固定資産税など:
租税公課 - 法人税・住民税・事業税:
法人税、住民税及び事業税または問題指定の法人税等 - 税抜方式による消費税:
仮払消費税、仮受消費税、未払消費税
税金の判断順序
- 何の税金か確認する
- 支払時にそのまま費用となるか、決算で未払額を計上するか
- 消費税なら税込方式か税抜方式かを確認する
- 税抜方式なら、本体価格と消費税を分ける
- 決算時に仮払消費税と仮受消費税を相殺する
固定資産税など
固定資産税や印紙税など、問題で租税公課として処理する税金を支払った場合は、費用の増加として借方へ記録します。
固定資産税を支払った
取引:固定資産税48,000円を普通預金から支払った。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 48,000 | 普通預金 | 48,000 |
固定資産そのものの取得原価へ加える取引ではありません。保有中に発生した税金を費用処理しています。
法人税、住民税及び事業税
株式会社が当期の利益に対して負担する法人税、住民税、事業税は、決算で費用と未払額を計上します。
問題の勘定科目候補に応じて、法人税、住民税及び事業税または許容科目の法人税等を使用します。本ページでは表を読みやすくするため法人税等と表記します。
決算で法人税等を計上した
決算整理事項:当期の法人税等120,000円を計上する。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 法人税等 | 120,000 | 未払法人税等 | 120,000 |
- 法人税等:当期の費用
- 未払法人税等:後日納付する義務・負債
翌期に納付した
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払法人税等 | 120,000 | 普通預金 | 120,000 |
納付時に法人税等をもう一度費用計上しません。決算で発生した負債を消す取引です。
消費税の税抜方式
税抜方式では、商品や費用の本体価格と消費税を分けて記録します。
| 取引 | 消費税科目 | 分類 |
|---|---|---|
| 仕入・費用の支払いで負担した消費税 | 仮払消費税 | 資産 |
| 売上時に顧客から預かった消費税 | 仮受消費税 | 負債 |
仮受消費税は会社の売上ではなく、後で納付するため一時的に預かった金額です。仮払消費税は、納付額の計算で差し引く金額です。
商品を税抜方式で仕入れた
取引:商品330,000円(税込)を掛けで仕入れた。消費税率10%、税抜方式で処理する。
- 本体価格:300,000円
- 消費税:30,000円
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 300,000 | 買掛金 | 330,000 |
| 仮払消費税 | 30,000 |
買掛金は税込支払総額330,000円です。
商品を税抜方式で販売した
取引:商品550,000円(税込)を掛けで販売した。消費税率10%、税抜方式で処理する。
- 本体価格:500,000円
- 消費税:50,000円
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 550,000 | 売上 | 500,000 |
| 仮受消費税 | 50,000 |
売掛金は税込回収総額550,000円です。
決算時の消費税精算
当期の仮払消費税が30,000円、仮受消費税が50,000円であるとします。
納付すべき消費税は次のとおりです。
仮受消費税50,000円−仮払消費税30,000円=20,000円
決算整理仕訳
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 仮受消費税 | 50,000 | 仮払消費税 | 30,000 |
| 未払消費税 | 20,000 |
- 仮受消費税を借方で取り崩す
- 仮払消費税を貸方で取り崩す
- 差額を未払消費税という負債へ計上する
借方50,000円、貸方30,000円+20,000円で一致します。
消費税を納付した
翌期、未払消費税20,000円を普通預金から納付しました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払消費税 | 20,000 | 普通預金 | 20,000 |
納付時に仮受消費税や仮払消費税を再度使いません。決算で確定した未払消費税を消します。
仮払金・仮受金と仮払消費税・仮受消費税の違い
名称は似ていますが、目的が異なります。
| 科目 | 使用場面 |
|---|---|
| 仮払金 | 支払内容・金額がまだ確定していない概算払い |
| 仮受金 | 入金内容が不明 |
| 仮払消費税 | 税抜方式で仕入・費用に伴い支払った消費税 |
| 仮受消費税 | 税抜方式で売上に伴い預かった消費税 |
消費税額と取引内容は確定しているため、仮払金・仮受金とは異なります。
よくある誤り
誤り1:税込金額をそのまま仕入・売上にする
税抜方式では本体価格と消費税を分けます。
誤り2:仕入時の消費税を仮受消費税にする
支払った消費税は仮払消費税、預かった消費税は仮受消費税です。
誤り3:仮受消費税を売上に含める
仮受消費税は後で納付する負債であり、会社の収益ではありません。
誤り4:決算時に差額だけ仕訳する
仮払消費税と仮受消費税の両方を取り崩し、差額を未払消費税へ振り替えます。
誤り5:法人税等の納付時に費用を再計上する
費用は決算時に計上済みです。納付時は未払法人税等を消します。
検算チェック
- 税込方式か税抜方式か確認したか
- 税込金額を本体価格と消費税へ正しく分けたか
- 支払消費税は仮払、預り消費税は仮受か
- 売掛金・買掛金は税込総額か
- 決算時に仮払・仮受消費税を両方取り崩したか
- 未払消費税は仮受−仮払か
- 法人税等の計上時と納付時を区別したか
- 借方合計と貸方合計が一致しているか
次の8-6「受取商品券」では、商品券の受取、組合せ支払、おつり、換金までを扱います。
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月18日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「商業簿記標準・許容勘定科目表」