8-2 未収入金・未払金と似た科目の比較
未収入金・未払金は商品以外の売買に使う
商品以外のものを売買し、代金を後日受け取る権利は未収入金、後日支払う義務は未払金で処理します。
科目選択では、単に「後日」だけを見るのではなく、次の順に確認します。
- 売買したものは販売目的の商品か
- 商品以外の備品・建物・車両などか
- 売買ではなく、時間の経過で発生した費用・収益か
- 代金や金額はすでに確定しているか
商品なら売掛金・買掛金、商品以外なら未収入金・未払金、期間配分なら未収収益・未払費用です。
6科目の比較
| 取引 | 債権・資産 | 債務・負債 |
|---|---|---|
| 商品の売買 | 売掛金 | 買掛金 |
| 商品以外の売買 | 未収入金 | 未払金 |
| 当期分の収益・費用が未収・未払い | 未収収益 | 未払費用 |
具体例
| 問題文 | 使用科目 |
|---|---|
| 商品を掛けで販売した | 売掛金 |
| 不要備品を売却し、代金は来月受取 | 未収入金 |
| 当期分の貸付金利息をまだ受け取っていない | 未収利息など未収収益 |
| 商品を掛けで仕入れた | 買掛金 |
| 業務用備品を後払いで購入した | 未払金 |
| 当期分の借入金利息をまだ支払っていない | 未払利息など未払費用 |
未収入金が公式の標準科目です。問題の勘定科目候補に未収金が指定されている場合は、問題文の指示を優先します。
未払金:商品以外を後払いで取得する
連続ケース:備品の取得
取引:7月1日、業務用設備660,000円を購入し、普通預金から160,000円を支払い、残額は翌月支払うこととした。
未払額は次のとおりです。
660,000円 − 160,000円 = 500,000円
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 備品 | 660,000 | 普通預金 | 160,000 |
| 未払金 | 500,000 |
備品は販売目的の商品ではないため、買掛金ではなく未払金です。
未払金を支払った
翌月、未払金500,000円を普通預金から支払いました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 500,000 | 普通預金 | 500,000 |
支払時に備品をもう一度計上しません。取得時に発生した債務を消すだけです。
未収入金:商品以外を後日受取で売却する
固定資産売却では、売却代金だけでなく、取得原価、減価償却累計額、帳簿価額、売却損益を処理します。
連続ケース:備品の売却
取引:8月1日の期首に、備品(取得原価300,000円、前期末減価償却累計額210,000円)を100,000円で売却し、代金は翌月受け取ることとした。間接法で記帳している。
帳簿価額
300,000円 − 210,000円 = 90,000円
売却損益
売却価額100,000円 − 帳簿価額90,000円 = 固定資産売却益10,000円
売却仕訳
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 100,000 | 備品 | 300,000 |
| 備品減価償却累計額 | 210,000 | 固定資産売却益 | 10,000 |
未収入金は売却代金を後日受け取る権利です。売却価額100,000円全額を売上にしたり、売掛金を使用したりしません。
未収入金を回収した
翌月、100,000円が普通預金へ入金されました。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 100,000 | 未収入金 | 100,000 |
回収時に固定資産売却益を再計上しません。
詳しい取得原価、減価償却、売却損益は第9章「固定資産」で確認します。
未払金と未払費用の違い
備品の後払い
備品という商品以外の資産を購入し、代金が確定しています。
備品/未払金
当期分利息の未払い
時間の経過により当期分利息が発生しています。
支払利息/未払利息
| 比較 | 未払金 | 未払費用 |
|---|---|---|
| 原因 | 商品以外の購入など | 当期分費用の発生 |
| 金額 | 売買時に確定 | 期間に応じて計算する場合がある |
| 例 | 備品、固定資産、備品修理代など | 利息、家賃、給料など |
未収入金と未収収益の違い
固定資産売却代金の未回収
売却取引が完了し、代金が確定しています。
未収入金/固定資産売却関係科目
当期分利息の未収
時間の経過により収益が発生しています。
未収利息/受取利息
| 比較 | 未収入金 | 未収収益 |
|---|---|---|
| 原因 | 商品以外の売却など | 当期分収益の発生 |
| 金額 | 売買時に確定 | 期間に応じて計算する場合がある |
| 例 | 固定資産売却代金 | 利息、家賃など |
期間配分は第10章「見越し・繰延べ」へつながります。
受取商品券との接続
他社発行の商品券も、後で発行者へ請求・換金できる資産です。ただし、商品販売の代金として受け取る専用科目受取商品券を使います。
受取、現金・掛けとの組合せ、おつり、換金、元帳残高は8-6「受取商品券」でまとめて扱います。
科目選択の4ステップ
- 売買した対象が商品か商品以外かを確認する
- 売買代金か、期間に応じて発生する費用・収益かを確認する
- 後日受取なら売掛金・未収入金・未収収益を比較する
- 後日支払なら買掛金・未払金・未払費用を比較する
よくある誤り
誤り1:後日受取をすべて売掛金にする
売掛金は商品販売による債権です。商品以外は未収入金です。
誤り2:備品の後払いを買掛金にする
買掛金は商品仕入による債務です。備品など商品以外は未払金です。
誤り3:未収入金と未収収益を同じ意味だと考える
売買取引で代金が確定しているか、時間の経過で収益が発生したかを確認します。
誤り4:未払金と未払費用を同じ意味だと考える
商品以外の購入代金か、当期分費用の未払いかを区別します。
誤り5:固定資産売却を売却価額だけで仕訳する
取得原価、累計額、帳簿価額、売却損益まで処理します。
誤り6:決済時に元の取引を再計上する
未収入金の回収や未払金の支払いでは、債権・債務を消します。固定資産や売却損益を再計上しません。
検算チェック
- 商品か商品以外かを確認したか
- 期間配分の費用・収益ではないか確認したか
- 標準科目
未収入金を使用したか - 固定資産売却仕訳は借貸一致しているか
- 決済時に元の取引を二重計上していないか
- 受取商品券を専用科目として区別したか
次の8-3「前払金・前受金・差入保証金」では、取引完了前に先に支払う・受け取る科目を扱います。
適用年度: 2026年度
最終確認日: 2026年7月18日
主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「商業簿記標準・許容勘定科目表」