8-6 受取商品券の受取・換金・残高管理

受取商品券は発行者へ請求できる資産

他社、商店街、クレジット会社などが発行した商品券を商品の代金として受け取った場合は、受取商品券という資産で処理します。

商品券は紙幣・硬貨ではないため現金とはせず、後日発行者へ請求・換金できる権利として記録します。

このページの目標は、次の一連の処理をできることです。

  1. 他社発行の商品券か確認する
  2. 受け取った券面額を受取商品券へ計上する
  3. 現金・掛けとの組合せを処理する
  4. おつりを支払う場合の貸方を判断する
  5. 発行者へ請求・換金して受取商品券を取り崩す
  6. 受取商品券残高を検算する

受取商品券の金額は、売上額ではなく実際に受け取った商品券の券面額です。

基本:商品券だけで代金を受け取る

取引:商品100,000円を販売し、代金として他社発行の商品券100,000円を受け取った。三分法で記帳している。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取商品券 100,000 売上 100,000

売掛金や現金を使いません。代金として受け取った資産が商品券だからです。

商品券と現金を組み合わせて受け取る

取引:商品60,000円を販売し、商品券40,000円と現金20,000円を受け取った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取商品券 40,000 売上 60,000
現金 20,000

借方の受取商品券40,000円+現金20,000円が、貸方の売上60,000円と一致します。

商品券と掛けを組み合わせる

取引:商品120,000円を販売し、商品券50,000円を受け取り、残額は掛けとした。

残額は次のとおりです。

120,000円−50,000円=70,000円

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取商品券 50,000 売上 120,000
売掛金 70,000

売掛金は商品券受取後の残額70,000円です。

代金を超える商品券を受け取り、おつりを支払う

取引:商品45,000円を販売し、商品券50,000円を受け取り、おつり5,000円を現金で支払った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
受取商品券 50,000 売上 45,000
現金 5,000

受取商品券は券面額50,000円です。売上45,000円との差額5,000円は、会社から顧客へ支払った現金なので貸方に記録します。

なぜ受取商品券を45,000円にしないのか

発行者へ請求できるのは、実際に受け取った商品券50,000円だからです。売上額と商品券額を混同しません。

発行者へ商品券を請求した

商品券合計250,000円を発行者へ請求し、普通預金へ入金されたとします。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 250,000 受取商品券 250,000

換金・請求時に売上を再計上しません。販売時に発生した受取商品券という資産が普通預金へ変わる取引です。

連続ケース:受取商品券残高を計算する

期首の受取商品券残高は30,000円でした。当期の取引は次のとおりです。

取引 増加 減少
商品販売で商品券100,000円を受け取った 100,000
商品販売で商品券40,000円を受け取った 40,000
商品販売で商品券50,000円を受け取った 50,000
発行者へ商品券150,000円を請求した 150,000

期末残高は次のとおりです。

30,000円+100,000円+40,000円+50,000円−150,000円=70,000円

受取商品券元帳

金額単位:円

日付 摘要 借方 貸方 残高
4/1 前期繰越 30,000 30,000
4/5 売上 100,000 130,000
4/12 売上 40,000 170,000
4/20 売上 50,000 220,000
4/28 普通預金 150,000 70,000

受取商品券は資産なので通常は借方残高です。

他人振出し小切手との違い

受け取ったもの 科目 理由
他人振出し小切手 現金 直ちに現金化でき、簿記上の現金に含まれる
他社発行の商品券 受取商品券 発行者へ請求・換金する権利

両方とも後で金融機関や発行者へ持ち込みますが、使用する科目は異なります。

前受金との違い

  • 受取商品券:会社が商品販売の代金として他社発行券を受け取った資産
  • 前受金:商品引渡し前に顧客から受け取った内金であり、商品引渡し義務を表す負債

本章の三級学習では、他社発行の商品券を受け取る受取商品券を中心に扱います。

よくある誤り

誤り1:受取商品券を現金にする

他社発行の商品券は、現金ではなく受取商品券です。

誤り2:商品券の券面額ではなく売上額を計上する

受取商品券は実際に受け取った券面額です。

誤り3:おつりを借方へ記録する

おつりは会社から支払った現金なので貸方です。

誤り4:商品券と現金・掛けの合計が売上と一致しない

受け取った資産の合計、または資産とおつりを含む借貸合計を検算します。

誤り5:換金時に売上を計上する

売上は販売時に計上済みです。換金時は普通預金/受取商品券です。

誤り6:受取商品券残高を貸方残高にする

受取商品券は発行者へ請求できる資産であり、通常は借方残高です。

最終チェック

  • 他社発行の商品券か確認したか
  • 受取商品券は実際の券面額か
  • 現金・売掛金との組合せを正しく処理したか
  • おつりの現金を貸方にしたか
  • 換金時に受取商品券を取り崩したか
  • 期首残高+受取−換金=期末残高か
  • 借方合計と貸方合計が一致しているか

第8章の練習問題では、科目比較から商品券元帳、税金、給与控除まで総合的に確認してください。


適用年度: 2026年度

最終確認日: 2026年7月18日

主な確認資料: 日本商工会議所「簿記検定試験出題区分表(2022年度適用、2026年度も適用)」「商業簿記標準・許容勘定科目表」

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