4-3 各種所得の計算2(給与・退職)
この節でできるようになること
- 給与収入から給与所得控除を使って給与所得を求められる。
- 退職所得控除と退職所得を、勤続年数の端数を含めて計算できる。
- 短期退職手当等など、単純な1/2計算が使えない例外を識別できる。
1. 給与所得
給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除額
2026年4月1日法令基準では、令和7年分以後の給与所得控除表を使用します。
| 給与収入 | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 190万円以下 | 65万円 |
| 190万円超360万円以下 | 収入×30%+8万円 |
| 360万円超660万円以下 | 収入×20%+44万円 |
| 660万円超850万円以下 | 収入×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円 |
給与収入660万円未満では実務上「給与所得控除後の給与等の金額の表」を使う場合がありますが、FP問題で計算式や前提が示されている場合はその指示に従います。
青葉直人さんの給与所得
給与収入600万円は「360万円超660万円以下」です。
- 給与所得控除:600万円×20%+44万円=164万円
- 給与所得:600万円-164万円=436万円
2. 特定支出控除
給与所得者が一定の通勤費、職務上の旅費、転居費、研修費、資格取得費等を支出し、その年の特定支出合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合、超過部分を追加控除できる制度です。会社から補填された部分は対象外です。
3. 退職所得の基本式
退職所得 =(退職収入-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額は次のとおりです。
| 勤続年数A | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×A(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円+70万円×(A-20年) |
勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げます。10年2か月なら11年です。
例:勤続25年、退職金1,500万円
- 控除額:800万円+70万円×5年=1,150万円
- 退職所得:(1,500万円-1,150万円)×1/2=175万円
4. 1/2課税の例外
- 特定役員退職手当等は、原則として1/2計算を使いません。
- 役員等以外でも勤続5年以下の短期退職手当等は、控除後残額のうち300万円を超える部分に1/2計算を使いません。
- 障害者になったことが直接の原因で退職した場合、通常計算した退職所得控除額に100万円を加算します。
FP3級では基本式が中心ですが、「必ず最後に1/2」と断定せず、問題文に役員・勤続5年以下・障害退職の語がないか確認します。
5. 退職所得の申告と源泉徴収
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、支払者が原則として正しい税額を源泉徴収し、退職所得だけを理由とする確定申告は通常不要です。未提出の場合は支給額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算します。
6. よくある誤り
- 給与収入600万円から基礎控除を直接引いて給与所得を出す。
- 勤続20年超の年数全体に70万円を掛ける。
- 10年2か月を10年として計算する。
- 短期退職手当等にも無条件で全額1/2を掛ける。
7. 自己点検方法
- 給与所得控除の収入区分を指で確認する。
- 退職所得は「控除額を先に計算」「収入との差額」「例外確認」「1/2」の順に書く。
- 退職所得は原則分離課税で、給与所得と同じ総合課税の箱へ入れていないか確認する。
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