4-5 損益通算と所得控除

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • 損益通算できる4所得と、対象外・制限部分を説明できる。
  • 医療費控除、社会保険料控除、iDeCo、生命保険料控除、基礎控除を正しい順序で計算できる。
  • 連続ケースから所得控除合計と課税所得金額を求められる。

1. 損益通算

損益通算は、一定の所得で生じた損失を他の所得から差し引く制度です。対象となる基本4所得は次のとおりです。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得

覚え方は「ふ・じ・さん・じょう」ですが、名称を覚えるだけでは不十分です。株式等や土地建物の譲渡損失、不動産所得の土地取得借入金利子部分、生活に通常必要でない資産の譲渡損失などには制限があります。

配当、給与、一時、雑所得の赤字は、原則として他所得と損益通算できません。

2. 損益通算の順序

FP3級では複雑な順序計算より、対象か否かの判断が中心です。解答時は次の順で確認します。

  1. 赤字がどの所得区分で生じたか。
  2. その所得に個別の通算制限がないか。
  3. 通算できる金額だけを総合課税の所得から差し引く。
  4. 退職所得・山林所得等を含む問題は、問題文の指示と法定順序を確認する。

3. 所得控除と税額控除は別

所得控除は、人的事情や政策目的を反映し、所得から差し引きます。税額控除は、課税所得に税率を掛けた後の税額から差し引きます。

所得控除 税額控除
基礎控除、医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除、iDeCo等 配当控除、住宅ローン控除など

4. 基礎控除

2026年4月1日法令基準で使用する令和7年分・令和8年分の基礎控除は次のとおりです。

合計所得金額 基礎控除額
132万円以下 95万円
132万円超336万円以下 88万円
336万円超489万円以下 68万円
489万円超655万円以下 63万円
655万円超2,350万円以下 58万円
2,350万円超2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

令和8年度税制改正による追加の引上げは2026年12月1日施行であり、2026年4月1日法令基準の試験には使用しません。

5. 医療費控除

医療費控除 = 支払医療費-保険金等の補填額-10万円

総所得金額等が200万円未満なら、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。控除上限は200万円です。補填額は、その給付の対象となった医療費を限度に差し引き、余剰を他の医療費から差し引きません。

支払医療費30万円、入院給付金5万円、総所得200万円以上なら、30万円-5万円-10万円=15万円です。

6. その他の主要控除

  • 社会保険料控除:本人または生計を一にする親族のため支払った対象保険料の全額。
  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo掛金等の全額。
  • 生命保険料控除:新契約では一般、介護医療、個人年金の各区分で計算し、所得税の合計上限は12万円。
  • 扶養控除:原則16歳以上の扶養親族。所得要件と年齢区分を確認する。
  • 配偶者控除・配偶者特別控除:納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用なし。

7. 連続ケースの所得控除

青葉直人さんの合計所得金額は451万円です。次の控除があるものとします。

  • 社会保険料控除:70万円
  • 医療費控除:15万円
  • iDeCo:24万円
  • 生命保険料控除:8万円(計算済み)
  • 基礎控除:68万円

所得控除合計は70+15+24+8+68=185万円です。

課税所得金額は451万円-185万円=266万円です。1,000円未満は切り捨てます。

8. よくある誤り

  • 医療費30万円から補填額を引かずに20万円控除する。
  • iDeCo掛金を税額から直接引く。
  • 合計所得451万円なのに基礎控除58万円を選ぶ。
  • 不動産所得△30万円を全額通算し、土地取得借入金利子10万円を除外しない。
  • 「副業所得20万円以下は非課税」と誤解する。申告不要制度と所得の非課税は別です。

9. 自己点検チェック

  1. 損失の所得区分と制限部分を確認したか。
  2. 所得控除を税率適用前に引いたか。
  3. 基礎控除は合計所得金額の段階を使ったか。
  4. 課税所得の1,000円未満を切り捨てたか。

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