4-1 所得税の基本

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • 収入・所得・課税所得・税額の違いを順番に説明できる。
  • 10種類の所得を、名称だけでなく発生原因から分類できる。
  • 総合課税・分離課税・源泉分離課税の違いを見分けられる。
  • FP3級の法令基準日と、後から成立した税制改正を混同しない。

1. 所得税は「収入」に直接かかる税金ではない

所得税は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対する国税です。問題を解くときは、次の4段階を混同しないことが出発点です。

段階 意味
収入金額 入ってきた総額 給与収入600万円
所得金額 収入から必要経費・法定控除を引いた金額 給与所得436万円
課税所得金額 所得を合計し、所得控除を引いた金額 266万円
所得税額 課税所得に税率を適用し、税額控除を引いた金額 6万8,500円など

見分け方:問題文が「年収」「売上」「受取額」と書いているだけなら、まだ所得ではありません。まず所得区分ごとの計算式へ進みます。

2. 所得税計算の全体フロー

  1. 収入を10種類の所得へ分類する。
  2. 各所得の計算式で所得金額を求める。
  3. 損益通算できる赤字を一定の順序で差し引く。
  4. 一時所得などの総所得算入額を反映する。
  5. 所得控除を差し引き、課税所得金額を1,000円未満切捨てで求める。
  6. 速算表で所得税額を求める。
  7. 住宅ローン控除などの税額控除を差し引く。
  8. 復興特別所得税を計算し、源泉徴収税額等と精算する。

所得控除は「課税所得を減らす」もの、税額控除は「計算後の税額を直接減らす」ものです。順序を逆にしてはいけません。

3. 10種類の所得を発生原因で分類する

所得 代表例 基本的な計算・注意
利子所得 預貯金、公社債の利子 原則、収入金額が所得金額
配当所得 株式配当、投資信託の分配 元本取得の借入利子を控除できる場合あり
不動産所得 土地・建物の貸付け 総収入-必要経費
事業所得 商工業、士業等の事業 総収入-必要経費
給与所得 給与・賞与 給与収入-給与所得控除
退職所得 退職金 原則、他の所得と分離して計算
山林所得 所有期間5年超の山林の伐採・譲渡 原則、分離課税
譲渡所得 資産の譲渡益 資産により総合課税・申告分離課税
一時所得 懸賞、満期保険金等 特別控除後の1/2を総所得へ算入
雑所得 公的年金、副業、暗号資産等 他の9種類に該当しない所得

条件語から分類する手順

  1. 貸付けか:土地・建物の貸付けなら不動産所得。
  2. 雇用契約による対価か:勤務先からの給与・賞与なら給与所得。
  3. 独立・継続・反復した事業か:事業所得の可能性。
  4. 資産を売却したか:譲渡所得を検討。
  5. 偶発的で、労務や譲渡の対価でないか:一時所得を検討。
  6. どれにも該当しなければ雑所得を検討する。

4. 課税方法を区別する

  • 総合課税:対象所得を合算し、5%から45%の超過累進税率を適用する。
  • 申告分離課税:他の所得と分けて確定申告で税額を計算する。
  • 源泉分離課税:支払時の源泉徴収で課税関係が完結し、原則として申告できない。
  • 申告不要制度:一定の上場株式等の配当などで、確定申告をしない選択ができる。

預貯金の利子は原則20.315%の源泉分離課税ですが、すべての利子所得が同じ扱いとは限りません。「商品」と「課税方式」をセットで読む必要があります。

5. 非課税所得の判定

代表例は、遺族年金、障害年金、雇用保険の基本手当、宝くじ当せん金、身体の傷害に基因して受ける一定の保険金・給付金です。老齢基礎年金・老齢厚生年金は雑所得として課税対象です。

通勤手当は全額が常に非課税ではありません。電車・バス等は、最も経済的かつ合理的な経路・方法による運賃等について月15万円を上限とするなど、条件と限度額があります。

6. 法令基準日の読み方

2026年6月以降の現行FP3級CBT期間は、原則として2026年4月1日現在施行の法令に基づきます。令和8年度税制改正の基礎控除引上げ等は2026年12月1日施行のため、本教材の現行試験計算には使用しません。年度名ではなく「基準日に施行済みか」で判断します。

7. 連続ケース:青葉直人さん

青葉直人さんには次の取引があります。

  • 給与収入:600万円
  • 賃貸不動産の赤字:30万円(うち土地取得借入金利子10万円)
  • 満期保険金:300万円、払込保険料220万円
  • 副業の雑所得:20万円

この段階では答えを合計しません。まず各項目を正しい所得に分類し、4-2から4-4で所得金額を計算します。

8. よくある誤りと自己点検

  • 誤り:給与収入600万円をそのまま所得600万円とする。
  • 誤り:税額控除を所得から引く。
  • 誤り:2026年分に適用される改正なら、2026年4月1日基準の試験にも必ず出ると考える。
  • 自己点検:「収入→所得→課税所得→税額」の4語を答案の横に書き、今どの段階か確認する。

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