4-6 税額控除と申告・納付
この節でできるようになること
- 所得税速算表で算出税額を計算できる。
- 税額控除、復興特別所得税、源泉徴収税額の順序を説明できる。
- 年末調整で完結するものと、確定申告が必要なものを判断できる。
- 青色申告の対象所得、申請期限、主要特典を整理できる。
1. 所得税の速算表
課税所得金額は1,000円未満を切り捨て、次の速算表を使います。
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
| 195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
| 330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
| 695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
| 900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
| 1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
| 4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
青葉直人さんの課税所得266万円は10%区分です。
266万円×10%-9万7,500円=16万8,500円
税率だけを掛けて26万6,000円としないよう、速算表の控除額を必ず引きます。
2. 税額控除と復興特別所得税
住宅ローン控除等を10万円受けるとします。
- 算出所得税額:16万8,500円
- 住宅ローン控除後:16万8,500円-10万円=6万8,500円
- 復興特別所得税:6万8,500円×2.1%=1,438.5円 → 1円未満切捨てで1,438円
- 所得税・復興特別所得税合計:6万8,500円+1,438円=6万9,938円
税額控除で所得税額が0円になれば、その部分を基にする復興特別所得税も0円です。
3. 住宅ローン控除の確認順序
住宅ローン控除は居住年、住宅性能、借入限度額、控除期間等により変わります。FP3級では、次の基本要件を順に確認します。
- 取得等から6か月以内に居住し、年末まで引き続き居住。
- 合計所得金額2,000万円以下。
- 原則、床面積50㎡以上かつ2分の1以上を自己居住用。
- 一定の場合、所得1,000万円以下なら40㎡以上50㎡未満の特例を検討。
- 返済期間10年以上。
- 初年度は確定申告、給与所得者の2年目以後は年末調整が可能。
控除率・借入限度額・控除期間は居住年と住宅区分を確認せず暗記値を当てはめないでください。
4. 給与所得者の確定申告
給与所得者でも、代表的に次の場合は確定申告が必要です。
- 給与収入が2,000万円を超える。
- 1か所給与で、給与・退職所得以外の所得合計が20万円を超える。
- 2か所以上給与等、その他の法定要件に該当する。
20万円以下なら所得が非課税になるわけではありません。また、医療費控除等のため確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も併せて申告します。
確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日です。期限日が休日の場合などは実際の期限を確認します。還付申告は通常の申告期間前から提出できます。
5. 年末調整では受けられない代表例
- 医療費控除
- 雑損控除
- 寄附金控除(一定のワンストップ特例を除く)
- 住宅ローン控除の初年度
これらは給与所得者でも確定申告が必要です。
6. 青色申告
青色申告ができる所得は、不動産所得、事業所得、山林所得です。
主な特典は次のとおりです。
- 青色申告特別控除:要件に応じ10万円、55万円、65万円。
- 青色事業専従者給与の必要経費算入。
- 純損失の翌年以後3年間の繰越控除。
承認申請は原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。1月16日以後に新規開業した場合は、業務開始日から2か月以内が基本です。
7. 個人住民税・個人事業税
個人住民税は地方税で、原則として前年所得に基づき翌年課税され、所得割と均等割等があります。個人事業税は法定業種に対する地方税で、事業主控除は原則年290万円です。
8. よくある誤り
- 課税所得266万円に10%を掛けるだけで、速算表の控除額9万7,500円を引かない。
- 医療費控除やiDeCo掛金を、所得控除ではなく税額から直接差し引く。
- 副業所得20万円以下を「非課税」と表現し、還付申告をする場合も申告から除外する。
- 住宅ローン控除について、居住年や住宅区分を確認せず借入限度額を一律に扱う。
9. 最終解答の自己点検
- 課税所得の税率区分と速算控除額は対応しているか。
- 所得控除と税額控除を逆にしていないか。
- 復興特別所得税は税額控除後の基準所得税額から計算したか。
- 20万円基準を「非課税」と表現していないか。
- 住宅ローン控除の居住年・住宅区分を確認したか。
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