5-2 不動産の取引
この節でできるようになること
- 三つの媒介契約について、複数業者への依頼、自己発見取引、登録期限を比較できる。
- 解約手付による解除ができる時点を判断できる。
- 普通借地・定期借地、普通借家・定期借家の更新関係を区別できる。
- 売買と賃貸借の資料から、当事者に必要な手続を選べる。
1. 媒介契約の比較
| 種類 | 複数業者 | 自己発見取引 | レインズ登録 | 業務報告 | 有効期間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 不可 | 不可 | 5日以内 | 1週間に1回以上 | 最長3か月 |
| 専任媒介 | 不可 | 可 | 7日以内 | 2週間に1回以上 | 最長3か月 |
| 一般媒介 | 可 | 可 | 法定義務なし | 法定義務なし | 法定上限なし |
登録期限の日数は休業日を除いて数える点にも注意します。FP3級では、専属専任と専任の差である「自己発見取引」と「5日・7日」が中心です。
2. 解約手付
買主は手付金を放棄し、売主は受領した手付金の倍額を現実に提供することで契約を解除できます。ただし、相手方が履行に着手した後は手付解除できません。
単に売主が登記書類を準備しただけで必ず履行着手になるとは限りません。問題文に中間金の支払、引渡し、移転登記申請など具体的行為があるかを確認します。
宅建業者が売主、買主が宅建業者でない場合、手付金等は代金の20%を超えられません。また一定額を超える手付金等には保全措置が必要です。
3. 重要事項説明と契約書面
宅建業者は契約成立前に重要事項説明書を交付し、宅地建物取引士が説明します。契約成立後は契約内容を記載した書面を交付します。「契約後に重要事項説明をする」という順序は誤りです。
4. 借地権
- 普通借地権:最初の存続期間は30年以上。更新があります。
- 一般定期借地権:50年以上、更新なし、建物買取請求なし。
- 事業用定期借地権等:事業用建物に限定し、公正証書で設定します。
- 建物譲渡特約付借地権:30年以上経過後に地主が建物を買い取ることで借地権を消滅させます。
5. 借家契約
普通借家契約では、貸主からの更新拒絶や解約申入れに正当事由が必要です。定期借家契約は書面等で契約し、更新がなく期間満了で終了することを契約前に別書面で説明します。
居住用で期間1年未満の定期借家契約でも、要件を満たせば期間の定めのある契約として扱われます。普通借家の「1年未満は期間の定めがないものとみなす」と混同しないようにします。
6. 連続ケースでの判断
青葉直人さんが土地売却を一社へ専任媒介で依頼し、自分で買主を見つける可能性も残したい場合、専属専任ではなく専任媒介が適します。賃貸建物を期間満了で確実に返してもらう目的なら、普通借家ではなく定期借家の要件を確認します。
7. 契約資料を読む順序
取引問題では、契約名称だけで結論を出さず、次の順で資料を確認します。
- 売主・買主・貸主・借主のうち、宅建業者は誰か。
- 媒介か代理か、売主自身との取引か。
- 契約前・契約時・履行着手後のどの時点か。
- 書面交付、説明、登録、報告のどの義務が問われているか。
- 賃貸借なら、土地か建物か、普通契約か定期契約か。
例えば、同じ手付金でも当事者双方が一般人の場合と、宅建業者が自ら売主となる場合では適用される保護規定が異なります。また、定期借家では契約書面だけでなく、更新がなく期間満了で終了する旨の事前説明を確認します。
7. よくある誤り
- 専任媒介では自己発見取引ができないとする。
- 一般媒介にも3か月の法定上限があるとする。
- 相手方の履行着手後も手付放棄だけで解除できるとする。
- 定期借家を口頭だけで設定できるとする。
8. 自己点検
媒介問題では「複数依頼・自己発見・登録期限・報告頻度」の4列を作ります。賃貸借問題では「更新・方式・期間・終了時の建物」を確認します。