5-1 不動産の見方(登記と価格)

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • 登記事項証明書の表題部・甲区・乙区から必要な情報を取り出せる。
  • 登記の対抗力と、公信力がないことの意味を区別できる。
  • 地価公示、基準地標準価格、路線価、固定資産税評価額の基準日と用途を判断できる。
  • 価格資料を見たときに、取引価格と税務評価額を混同しない。

1. 登記記録の三つの区分

不動産登記記録は、土地一筆または建物一個ごとに作成され、表題部権利部に分かれます。権利部はさらに甲区と乙区に分かれます。

区分 主な記録 資料問題で探すもの
表題部 土地の所在・地番・地目・地積、建物の種類・構造・床面積 面積、用途、物理的状況
権利部甲区 所有権の保存・移転、差押え等 現在の所有者、所有権の変動
権利部乙区 抵当権、地上権、賃借権等 担保や利用を制限する権利

抵当権を探すのに甲区を見る、所有者を確認するのに乙区を見る、という逆転が典型的な誤りです。

2. 登記の対抗力と公信力

不動産の売買契約により所有権は当事者間で移転しますが、第三者に自分の所有権を主張するには原則として登記が必要です。これが対抗要件です。

一方、登記には公信力がありません。登記名義人が真の権利者でなかった場合、登記だけを信じた買主が必ず権利を取得できるとは限りません。「登記があるから所有権が発生する」という意味ではありません。

3. 一物四価を資料の目的から読む

価格 基準日 公表・決定主体 主な用途
地価公示価格 1月1日 国土交通省土地鑑定委員会 一般土地取引の指標、鑑定評価の規準
基準地標準価格 7月1日 都道府県 地価公示を時期・地点面で補完
相続税路線価 1月1日 国税庁 相続税・贈与税の宅地評価
固定資産税評価額 1月1日 市町村等 固定資産税、不動産取得税、登録免許税等の基礎

路線価は地価公示価格等を基にした価格の80%程度を目途に定められます。ただし、個別土地の形状や接道状況により補正するため、単純に公示価格の80%と断定して評価してはいけません。

4. 路線価方式と倍率方式

  • 路線価方式:路線価×地積×奥行価格補正率等。
  • 倍率方式:固定資産税評価額×評価倍率。

路線価図に数字がない土地だから評価できないのではなく、倍率地域として評価する場合があります。

5. 鑑定評価の三方式

  • 取引事例比較法:近隣の取引事例と比較する。
  • 原価法:再調達原価から減価修正する。
  • 収益還元法:将来の純収益を還元して価格を求める。

賃貸ビルや投資用マンションでは収益還元法が重要ですが、居住用土地の一般的な価格判断では取引事例も重視されます。

6. 連続ケース:青葉土地

青葉直人さんが検討する土地は登記地積240㎡、固定資産税評価額3,600万円です。乙区には銀行の抵当権が記録されています。後続節では、道路後退、建築可能面積、取得・保有税、売却税と投資利回りを順に計算します。

7. よくある誤り

  • 登記地積と実測面積が常に一致すると考える。
  • 甲区の抵当権を探す。
  • 路線価を実際の売買価格と同一視する。
  • 登記名義人なら必ず真の所有者だと考える。

8. 自己点検

  1. 求められているのは物理情報、所有権、担保権のどれか。
  2. 価格資料の基準日と課税目的を確認したか。
  3. 税務評価と市場価格を同じ欄に入れていないか。

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