5-5 不動産の譲渡にかかる税金

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • 土地建物の譲渡所得を収入、取得費、譲渡費用から計算できる。
  • 譲渡年1月1日の所有期間により長期・短期を判定できる。
  • 長期・短期の所得税、住民税、復興特別所得税を計算できる。
  • 居住用財産の3,000万円特別控除と買換え特例の関係を説明できる。

1. 土地建物の譲渡所得

土地や建物の譲渡所得は、給与所得等と分けて申告分離課税されます。

課税譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除

取得費には購入代金、購入手数料、改良費等が含まれます。建物の取得費は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。取得費が不明、または実額が譲渡収入の5%より少ない場合、概算取得費として譲渡収入の5%を使える場合があります。

譲渡費用には仲介手数料、売主負担の印紙税、売却のための測量費・取壊費用等が含まれます。固定資産税そのものや修繕費を無条件に譲渡費用へ入れてはいけません。

2. 所有期間の判定

土地建物は譲渡した年の1月1日現在の所有期間で判定します。

  • 5年超:長期譲渡所得
  • 5年以下:短期譲渡所得

青葉直人さんが2020年5月1日に取得し、2026年6月30日に譲渡した場合、2026年1月1日時点ですでに5年を超えているため長期です。

3. 税率

区分 所得税 住民税 復興特別所得税
長期 15% 5% 所得税額×2.1%
短期 30% 9% 所得税額×2.1%

青葉土地の譲渡収入4,500万円、取得費2,500万円、譲渡費用200万円、特別控除なしとします。

  • 課税譲渡所得:4,500-2,500-200=1,800万円
  • 所得税:1,800万円×15%=270万円
  • 住民税:1,800万円×5%=90万円
  • 復興特別所得税:270万円×2.1%=5万6,700円
  • 合計:365万6,700円

4. 居住用財産の特例

自己居住用財産を譲渡し一定要件を満たす場合、所有期間にかかわらず最高3,000万円の特別控除があります。配偶者、直系血族、生計を一にする親族、特殊関係法人等への譲渡には適用できません。

譲渡年1月1日で所有期間10年超の居住用財産には軽減税率の特例があり、3,000万円特別控除と併用できます。

買換え特例は譲渡益を免除する制度ではなく課税繰延べです。3,000万円特別控除や軽減税率とは原則として選択関係です。

5. 特例を選ぶ手順

居住用財産の問題では、最初から3,000万円を差し引かず、次の順で適用可否を確認します。

  1. 実際に自己の居住用として使っていたか。
  2. 転居後の売却期限を満たすか。
  3. 売却先が配偶者・直系血族など特別関係者でないか。
  4. 過去の適用状況や他の特例との重複制限はないか。
  5. 3,000万円特別控除、軽減税率、買換え特例のどれを使うか。

課税譲渡所得が3,000万円以下でも、特例の要件を満たさなければ自動的に0円にはなりません。また、買換え特例は取得費を引き継いで将来の譲渡時まで課税を繰り延べる仕組みであるため、新しい住宅を売るときの取得費計算に影響します。

概算取得費の比較

実額取得費が判明している場合でも、譲渡収入の5%による概算取得費の方が有利なら選択できることがあります。実額と概算額を比較し、大きい方を機械的に使うのではなく、法令上使用可能かを確認します。

5. よくある誤り

  • 売却日までの期間で長期・短期を判定する。
  • 建物の購入代金を減価償却せず全額取得費とする。
  • 住民税を所得税額へ掛ける。
  • 買換え特例で税が永久に免除されると考える。

6. 自己点検

  1. 譲渡資産は土地建物か。
  2. 1月1日判定で長期か短期か。
  3. 取得費と譲渡費用を区別したか。
  4. 特別控除の適用可否と併用関係を確認したか。

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