5-4 不動産の取得・保有にかかる税金
この節でできるようになること
- 取得時、保有時、譲渡時の税を時系列で分類できる。
- 相続と贈与で不動産取得税の扱いが異なることを判断できる。
- 住宅用地特例を小規模部分と一般部分に分けて固定資産税を計算できる。
- 時限措置の適用期限を法令基準日で確認できる。
1. 取得時の税金
| 税 | 税区分 | 課税場面 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 地方税 | 売買、贈与、交換、建築等による取得 |
| 登録免許税 | 国税 | 所有権移転・保存、抵当権設定等の登記 |
| 印紙税 | 国税 | 売買契約書、請負契約書等の課税文書 |
| 消費税 | 国税・地方税 | 事業者による建物売買、仲介手数料等 |
土地の譲渡・貸付けは原則として消費税非課税ですが、建物売買や仲介手数料は課税対象となります。
2. 不動産取得税の相続と贈与
相続による取得は不動産取得税が非課税です。贈与、相続時精算課税を選択した贈与、等価交換による取得は原則として課税対象です。
2026年4月1日現在、宅地等の取得では固定資産税評価額の2分の1を課税標準とする特例、土地・住宅の税率3%などの時限措置があります。
青葉土地の固定資産税評価額が3,600万円なら、軽減後課税標準は1,800万円です。
不動産取得税=1,800万円×3%=54万円
住宅・土地の個別軽減を追加適用する問題では、提示された控除額や減額額をさらに反映します。
3. 保有時の税金
固定資産税は毎年1月1日現在、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人に課税されます。標準税率は1.4%です。年途中で売却しても、その年度の法律上の納税義務者は1月1日の所有者です。
都市計画税は原則として市街化区域内の土地・家屋に課税される目的税です。
4. 住宅用地特例
| 区分 | 面積 | 固定資産税の本則課税標準 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 住宅1戸につき200㎡まで | 価格×1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 価格×1/3 |
青葉土地240㎡、評価額3,600万円を面積比例で分けます。
- 200㎡部分:3,600万円×200/240×1/6=500万円
- 40㎡部分:3,600万円×40/240×1/3=200万円
- 本則課税標準:700万円
- 固定資産税:700万円×1.4%=9万8,000円
実際の税額には負担調整措置や自治体独自軽減が影響する場合があります。FP問題では問題文で「本則課税標準を用いる」と指定されることが多いため、条件に従います。
5. 取得から保有までの時系列
不動産税は、同じ評価額を使っていても課税時点と税目が異なります。
- 売買契約書を作成すると印紙税を検討する。
- 所有権移転登記では登録免許税を検討する。
- 取得後に都道府県から不動産取得税が課税される。
- 翌年度以降、1月1日現在の所有者へ固定資産税・都市計画税が課税される。
売買契約で固定資産税相当額を売主・買主間で日割精算しても、地方税法上の納税義務者が途中で変わるわけではありません。日割精算は当事者間の代金調整です。
建物と土地の課税標準を分ける
不動産取得税の住宅控除、土地の減額、固定資産税の新築住宅減額は、それぞれ要件と計算順序が異なります。問題文に土地評価額、建物評価額、床面積が別々に示されたら、合計して一つの率を掛けず、税目ごとに計算表を分けます。
5. よくある誤り
- 贈与を相続と同じく不動産取得税非課税とする。
- 不動産取得税を実際の購入代金へ掛ける。
- 240㎡全部に1/6を適用する。
- 年途中の買主をその年の固定資産税納税義務者とする。
6. 自己点検
取得原因、課税標準、税率、時限措置、面積区分の順で確認します。固定資産税は1月1日、不動産取得税は取得時という基準時も書き分けます。