6-3 相続税の仕組みと計算
この節でできるようになること
- 法定相続人の数から基礎控除額を計算できる。
- 死亡保険金の非課税額、債務・葬式費用を反映して課税価格を求められる。
- 課税遺産総額を法定相続分で仮分けし、相続税総額を計算できる。
- 配偶者の税額軽減と2割加算の対象を判断できる。
1. 基礎控除
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
青葉家の法定相続人は花子、由美、美紀、蓮の4人です。
3,000万円+600万円×4人=5,400万円
放棄者がいても、基礎控除の人数は放棄がなかったものとして数えます。養子は実子がいる場合1人、実子がいない場合2人までを原則として人数へ算入します。
2. 死亡保険金の非課税
相続人が受け取る死亡保険金の非課税限度額は次のとおりです。
500万円×法定相続人の数
4人なら2,000万円です。青葉家の死亡保険金2,400万円のうち、課税価格へ算入するのは400万円です。
死亡退職金にも同じ500万円×法定相続人数の非課税限度がありますが、保険金と退職金はそれぞれ別枠です。
3. 課税価格と課税遺産総額
青葉家の条件:
- その他の課税財産:7,900万円
- 小規模宅地等特例適用後の自宅土地:900万円
- 死亡保険金の課税部分:400万円
- 債務:500万円
- 葬式費用:300万円
課税価格の合計は7,900+900+400-500-300=8,400万円です。
課税遺産総額=8,400万円-5,400万円=3,000万円
4. 相続税総額の計算
課税遺産総額3,000万円を法定相続分で仮分けします。
- 花子:1,500万円 → 15%-50万円=175万円
- 由美:750万円 → 10%=75万円
- 美紀:375万円 → 10%=37万5,000円
- 蓮:375万円 → 10%=37万5,000円
相続税総額は175+75+37.5+37.5=325万円です。
その後、実際の課税価格の取得割合で各人へ按分し、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、贈与税額控除、2割加算等を行います。
5. 相続税の速算表の使い方
法定相続分による各人の仮取得金額に、相続税の速算表を適用します。青葉家で使う区分は次の二つです。
| 仮取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 1,000万円超3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
花子の1,500万円は15%区分なので、1,500万円×15%-50万円=175万円です。税率15%だけを全額へ掛けて225万円としないよう、控除額を引きます。
相続税総額を求める段階では、実際の遺産分割割合や配偶者軽減をまだ使いません。まず法定相続分で機械的に仮分けし、総額が決まった後に実際の取得割合で按分します。
5. 配偶者の税額軽減
配偶者が実際に取得した正味遺産額が、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までなら、配偶者の相続税額は軽減されます。適用には原則として相続税申告が必要です。
6. 申告と納付
相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の死亡時住所地を所轄する税務署へ申告・納付します。
7. よくある誤り
- 各人が実際に取得した財産へ直接税率を掛けて相続税総額を出す。
- 保険金2,400万円を全額非課税とする。
- 基礎控除で放棄者を人数から除く。
- 配偶者なら申告しなくても自動的に軽減されるとする。
8. 自己点検
人数→非課税→債務控除→基礎控除→法定相続分仮分け→税率→総額→実取得按分の順に計算します。