6-1 相続の基礎知識

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • 家族関係図から法定相続人と相続順位を特定できる。
  • 代襲相続を含む法定相続分を計算できる。
  • 相続放棄と代襲相続、税法上の法定相続人数の違いを説明できる。
  • 単純承認、限定承認、放棄の手続を選べる。

1. 相続人の順位

配偶者は常に相続人です。配偶者以外は次の順位で、上位順位がいる場合は下位順位は相続人になりません。

  1. 子。子が相続開始前に死亡していれば、その子である孫等が代襲。
  2. 直系尊属。子やその代襲者がいない場合。
  3. 兄弟姉妹。子・直系尊属がいない場合。代襲は甥・姪まで。

内縁の配偶者は法定相続人ではありません。

2. 青葉家の親族関係図

被相続人は青葉太郎です。配偶者は花子、子は長男一郎と長女由美です。一郎は太郎より前に死亡しており、一郎には美紀と蓮の2人の子がいます。

法定相続人は次の4人です。

  • 配偶者花子
  • 長女由美
  • 亡長男一郎を代襲する孫美紀
  • 同じく孫蓮

3. 法定相続分

配偶者と子が相続人なら、配偶者全体1/2、子の系統全体1/2です。

子の系統は一郎の枝と由美の枝の二つに分かれます。

  • 花子:1/2
  • 由美:1/4
  • 一郎の枝:1/4
  • 美紀:1/8
  • 蓮:1/8

代襲相続人は、被代襲者が受けるはずだった割合を同一枝内で分けます。

4. 放棄と代襲

相続放棄をした人は民法上、初めから相続人でなかったものとされます。しかし、放棄を理由にその子が代襲相続することはありません。

一方、相続税の基礎控除等で使う「法定相続人の数」は、放棄がなかったものとして数えます。民法上の取得者と税法上の人数を混同しないことが重要です。

5. 承認と放棄

  • 単純承認:プラス財産も債務も無限に承継。
  • 限定承認:相続財産の範囲内で債務を弁済。共同相続人全員で申述。
  • 相続放棄:財産も債務も承継しない。各相続人が単独で申述。

限定承認と放棄は、自己のために相続開始があったことを知った時から原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。

6. 遺産分割

遺言による指定分割、相続人全員の協議分割、家庭裁判所による調停・審判があります。協議分割は相続人全員の参加が必要です。

7. 親族関係図を答案へ変換する方法

青葉家の関係を枝で表すと次のようになります。

  • 太郎 ─ 花子(配偶者)
  • 子の第1枝:一郎(先に死亡)→ 美紀・蓮
  • 子の第2枝:由美

法定相続分は「人数」で最初から均等に割るのではなく、まず配偶者と血族全体の割合を決め、次に子の枝へ分け、最後に代襲者同士で分けます。

状況が変わった場合

  • 一郎が生存していれば、美紀と蓮は相続人にならず、花子1/2、一郎1/4、由美1/4です。
  • 一郎が相続放棄をしても、美紀と蓮は放棄を理由に代襲しません。
  • 一郎が相続欠格または廃除に該当する場合は、その子が代襲することがあります。
  • 子の系統が全くいなければ、直系尊属、さらにその次に兄弟姉妹の順位を検討します。

民法上の相続人を確定した後、相続税の基礎控除で数える養子・放棄者の税法上の扱いを別に確認します。

7. よくある誤り

  • 孫がいるだけで子を飛ばして孫を相続人にする。
  • 亡くなった子の枝の割合を孫一人一人にそのまま与える。
  • 相続放棄者の子を代襲相続人にする。
  • 限定承認を一人だけで行う。

8. 自己点検

配偶者を先に置き、順位を一つだけ選び、死亡者の枝を代襲者へ分けます。割合の合計が必ず1になるか確認します。

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