3-8 ポートフォリオと派生商品
この節でできるようになること
- 資産配分比率と期待収益率からポートフォリオ期待収益率を計算できる。
- 標準偏差と相関係数が分散効果へ与える影響を説明できる。
- 相関係数が低い資産を組み合わせる意味を判断できる。
- 先物、コール、プットを価格変動リスクのヘッジ目的で使い分けられる。
1. ポートフォリオの期待収益率
ポートフォリオ期待収益率は、各資産の期待収益率を構成比で加重平均します。
青葉ポートフォリオ:
- 国内株式60%、期待収益率8%
- 国内債券40%、期待収益率2%
60%×8%+40%×2%=5.6%
単純平均の5%ではなく、投資比率を掛けます。
2. リスクと標準偏差
投資におけるリスクは、損失だけでなく収益率の振れ幅を表します。標準偏差が大きいほど、期待収益率から大きく上下する可能性があります。
青葉ポートフォリオで、株式標準偏差15%、債券標準偏差5%、相関係数0とすると、2資産の標準偏差は次の式で求めます。
√{0.6²×0.15²+0.4²×0.05²+2×0.6×0.4×0×0.15×0.05}
=√0.0085=約9.22%
3. 相関係数
相関係数は-1から+1の範囲です。
- +1:完全に同方向へ動く。分散効果が小さい。
- 0:動きに明確な直線関係がない。
- -1:完全に反対方向へ動く。理論上、組合せによりリスクを大きく低下させられる。
相関が低いだけで損失がなくなるわけではありません。各資産の期待収益率、標準偏差、投資期間も確認します。
4. 分散投資
- 資産分散:株式、債券、現金、不動産等。
- 地域分散:国内、先進国、新興国等。
- 通貨分散:円、米ドル、ユーロ等。
- 時間分散:一時に購入せず時期を分ける。
銘柄数を増やしても同じ業種・同じ国へ偏っていれば、十分な分散とは限りません。
5. デリバティブによるヘッジ
株価下落を防ぎたい
保有株式の価格下落をヘッジするには、株価指数先物を売る、またはプットオプションを買う方法があります。
将来の買付価格上昇を防ぎたい
将来株式を買う予定で価格上昇を避けたい場合、先物を買う、またはコールオプションを買う方法があります。
オプションの権利
- コール:買う権利。
- プット:売る権利。
- 買い手:権利を放棄でき、損失は原則プレミアムに限定。
- 売り手:買い手が権利行使すれば履行義務を負う。
6. リバランス
運用後に株式が値上がりし、当初60%だった株式比率が75%になれば、ポートフォリオのリスクも変わります。目標配分へ戻すため、一部の株式を売り、債券等を買うことをリバランスといいます。
リバランスでは、売買コスト、税金、NISA枠、必要資金の時期を確認します。機械的に頻繁な売買を行うとコストが増える場合があります。
リスク許容度
同じ期待収益率でも、投資期間、収入の安定性、生活予備資金、損失への心理的耐性によって適切な配分は異なります。高収益が期待できる商品を最大限持つことが、全員にとって最適とは限りません。
6. よくある誤り
- ポートフォリオ収益率を単純平均する。
- 相関係数が0ならリスクも0とする。
- 株価下落ヘッジでコールを買う。
- オプション売り手も自由に権利放棄できるとする。
7. 自己点検
資産比率の合計が100%か、期待収益率と標準偏差を混同していないか、ヘッジ対象が上昇か下落かを確認します。