3-4 株式投資
この節でできるようになること
- EPS、BPS、PER、PBR、ROE、配当利回り、配当性向を計算できる。
- 株価指標の分子と分母を混同せず、同業他社比較に使える。
- 指値注文、成行注文、権利確定日の基本を判断できる。
- 単一指標だけで割安・割高を断定しない。
1. 株式の権利
普通株主には、配当を受ける権利、株主総会で議決権を行使する権利、会社清算時に残余財産の分配を受ける権利などがあります。ただし配当は保証されず、会社の業績・方針で減配や無配になる場合があります。
2. 青葉株式会社のデータ
- 株価:2,400円
- 発行済株式数:100万株
- 当期純利益:1億2,000万円
- 自己資本:8億円
- 1株当たり年間配当:60円
EPSとBPS
EPS=当期純利益÷発行済株式数
1億2,000万円÷100万株=120円
BPS=自己資本÷発行済株式数
8億円÷100万株=800円
PERとPBR
PER=株価÷EPS=2,400円÷120円=20倍
PBR=株価÷BPS=2,400円÷800円=3倍
ROE
ROE=当期純利益÷自己資本×100
1億2,000万円÷8億円×100=15%
配当利回りと配当性向
配当利回り=1株当たり配当÷株価×100=60÷2,400×100=2.5%
配当性向=1株当たり配当÷EPS×100=60÷120×100=50%
3. 指標の読み方
PERが低いから必ず割安とは限りません。利益の一時的増加、成長期待の低さ、業績悪化リスクなどでも低くなります。PBR、ROE、財務健全性、成長性を組み合わせて見ます。
ROEが高くても、過度な借入で自己資本が小さいことが原因の場合があります。指標の背景を確認します。
4. 売買注文
- 成行注文:価格を指定せず、成立を優先する。
- 指値注文:買値の上限または売値の下限を指定する。
買い指値2,300円は2,300円以下での約定を希望する注文です。売り指値2,500円は2,500円以上での約定を希望します。
5. 株式分割と指標
株式分割では株数が増え、理論上1株当たり株価、EPS、BPS、配当が調整されます。会社全体の企業価値が分割だけで増えるわけではありません。
6. 指標比較の注意点
株価指標は原則として同じ業種、近い事業構造の企業同士で比較します。銀行と製造業のPERやPBRを単純比較しても、資産構成や利益構造が異なるため判断を誤る可能性があります。
利益が赤字の場合
EPSがマイナスなら、通常のPERは有効な倍率として計算できません。PBRが1倍未満でも、保有資産の時価下落、将来損失、低収益性が織り込まれている場合があります。
株主還元の確認
配当利回りが高くても、配当性向が100%を大きく超えていれば、利益以上の配当を継続できない可能性があります。配当額、利益、キャッシュフローを合わせて確認します。
6. よくある誤り
- PERをEPS÷株価で計算する。
- ROEを当期純利益÷総資産で計算する。
- 配当利回りの分母を額面金額とする。
- 指値買い注文を指定価格以上で買う注文とする。
7. 自己点検
株価、利益、自己資本、株式数、配当を別欄へ置き、まずEPSとBPSを求めてから倍率を計算します。