3-6 外貨建金融商品
この節でできるようになること
- TTS、TTB、仲値を円から外貨・外貨から円の方向で使い分けられる。
- 外貨預金の購入円額、受取外貨、円換算受取額、為替損益を計算できる。
- 外貨金利が高くても円換算で損失になる場合を説明できる。
- 為替予約、為替ヘッジあり・なしの特徴を判断できる。
1. 為替レートの使い分け
| レート | 顧客の取引 | 銀行側から見た意味 |
|---|---|---|
| TTS | 円を外貨へ換える | 銀行が外貨を売る |
| TTB | 外貨を円へ換える | 銀行が外貨を買う |
| 仲値 | TTSとTTBの中心となる基準 | 公表時点の基準値 |
一般にTTSはTTBより高く、その差が為替手数料に相当します。
2. 青葉米ドル預金
- 預入時:10,000米ドルを購入
- 預入時TTS:151円
- 満期受取利息:200米ドル
- 払戻時TTB:148円
預入円額
10,000米ドル×151円=1,510,000円
満期外貨額
10,000米ドル+200米ドル=10,200米ドル
円換算受取額
10,200米ドル×148円=1,509,600円
円ベース損益
1,509,600円-1,510,000円=△400円
外貨では200米ドル増えていても、円高方向の変化と為替スプレッドにより円換算では損失になっています。
3. 為替損益の方向
- 外貨資産保有中に円安:円換算額は増えやすい。
- 外貨資産保有中に円高:円換算額は減りやすい。
輸入企業は円安で外貨支払の円負担が増えやすく、輸出企業は外貨収入の円換算額が増える場合があります。ただし原材料費やヘッジ状況などでも変わります。
4. 為替予約とヘッジ
将来の為替レートをあらかじめ固定する為替予約を利用すると、為替変動リスクを抑えられます。一方、有利な為替変動による利益も受けにくくなり、ヘッジコストがかかる場合があります。
外貨建投資信託の「為替ヘッジあり」は価格変動リスクがなくなるという意味ではありません。投資先資産の価格変動、信用リスク等は残ります。
5. 外貨預金の注意点
- 預金保険制度の対象外。
- 為替手数料が往復でかかる。
- 中途解約条件、金利、税金を確認する。
- 円ベース利回りは外貨利率だけでは決まらない。
6. 損益分岐為替レート
円ベースで元本割れしない払戻時TTBは、預入円額を満期外貨額で割って求められます。
青葉米ドル預金では、
1,510,000円÷10,200米ドル=約148.04円
したがって、払戻時TTBが約148.04円を下回ると、税金等を無視しても円ベースで損失になります。外貨利息が為替変動を吸収できる範囲を確認できます。
クロスレート
円から直接提示されない通貨では、米ドル等を経由してクロスレートを求める場合があります。掛けるか割るかを暗記せず、「1通貨当たり何円か」という単位をそろえます。
税引後損益
実際には外貨利息への税金や為替手数料があるため、税引前・手数料前の計算より受取額が減ります。問題文で控除条件が示されたら順番に反映します。
6. よくある誤り
- 円から米ドルを買うときTTBを使う。
- 米ドルを円へ戻すときTTSを使う。
- 外貨元本が増えれば必ず円でも利益とする。
- 為替ヘッジで投資先価格リスクまで消えるとする。
7. 自己点検
取引方向、使用レート、外貨元本、外貨利息、円換算額、往復手数料を順に書きます。
この章の理解を確認しよう
練習問題で知識を定着させましょう