3-1 金融・経済の基本

最終更新 2026-07-21制度・データ基準 2026-04-01内容確認済み内容の作り方 →

この節でできるようになること

  • GDP、物価、景気動向指数、日銀短観など主要経済指標の意味を区別できる。
  • 金利、債券価格、株価、為替の基本的な関係を方向で判断できる。
  • 名目金利と実質金利、金融緩和と金融引締めの違いを説明できる。
  • 経済ニュースを見たときに、単一指標だけで投資判断を断定しない。

1. 経済指標は「何を測るか」で分ける

指標 主な意味 問題での着眼点
GDP 国内で一定期間に生み出された付加価値 名目と実質、成長率
消費者物価指数 家計が購入する財・サービスの価格変動 インフレ・デフレ
景気動向指数 景気の方向や転換点 先行・一致・遅行
日銀短観 企業の景況感や設備投資計画 業況判断DI
マネーストック 民間部門が保有する通貨量 金融環境の把握

名目GDPが増えていても、物価上昇の影響を除いた実質GDPが増えているとは限りません。試験では「数量の増加」と「価格の上昇」を分けます。

2. 名目金利と実質金利

実質金利の簡易的な考え方は次のとおりです。

実質金利 ≒ 名目金利-予想物価上昇率

名目金利2%、予想物価上昇率3%なら、実質金利は約マイナス1%です。預金残高が名目上増えても、購買力が低下する場合があります。

3. 金融政策

日本銀行が市場へ資金を供給し、金利低下を促す政策を金融緩和といいます。反対に資金供給を抑え、金利上昇を促す政策が金融引締めです。

一般的な方向は次のとおりですが、実際の市場は景気予想、海外金利、企業業績など複数要因で動きます。

変化 一般的な影響
市場金利上昇 既発債価格は下落しやすい
市場金利低下 既発債価格は上昇しやすい
円安 外貨建資産の円換算額は増えやすい
円高 外貨建資産の円換算額は減りやすい
予想外の物価上昇 固定利率資産の実質価値が低下しやすい

4. 青葉ポートフォリオの市場シナリオ

青葉直人さんは円預金、国内債券、国内株式、米ドル資産を保有しています。

  • 国内市場金利が上昇:保有する固定利率債券の価格は下落しやすい。
  • 円安:米ドル資産の円換算額は増えやすい。
  • 企業利益が増加:他条件一定ならEPSやROEが改善する可能性がある。
  • 物価上昇が預金金利を上回る:預金の実質購買力は低下する可能性がある。

5. 景気と市場を読む順序

  1. 指標が何を測るか確認する。
  2. 前年比か前期比か、名目か実質かを確認する。
  3. 市場予想との差を確認する。
  4. 金利・株価・為替への影響を方向で整理する。
  5. 一つの指標だけで結論を出さない。

6. 複数指標を組み合わせる例

物価上昇率が高く、実質金利がマイナスでも、直ちに株式が上昇するとは限りません。企業の売上が増えても原材料費や人件費がそれ以上に増えれば、利益は減少する可能性があります。

経済問題では、次の三段階に分けます。

  1. 実体経済:生産、所得、雇用、物価。
  2. 金融環境:政策金利、市場金利、通貨量。
  3. 資産価格:債券、株式、為替。

同じニュースでも、どの段階を直接変化させ、どの段階へ波及するかを確認します。

6. よくある誤り

  • 名目GDPの増加をそのまま実質成長とする。
  • 市場金利上昇で既発債価格も上昇するとする。
  • 円安で外貨資産の円換算額が必ず減るとする。
  • インフレ率を考えず名目利率だけで預金の実質収益を判断する。

7. 自己点検

「指標の種類」「変化の方向」「影響を受ける資産」「他の条件」の4列で整理します。

経済指標と市場反応の判断練習へ

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